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音楽が鳴り響く平和な街を目指して! スラム街をジャズで変えていく「ベラ・アルチ・ジャズ」

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“ブラジル”という言葉を聞くと、どんなイメージが思い浮かぶでしょうか? リオのカーニバル、アマゾン・・・それとも次回ワールドカップや2016年のオリンピック?

私はブラジルで地域計画プロジェクトに取り組み、その後、州政府でインターンとして働くなかで、ブラジルが持つ複雑さ、それらを包括しても輝くエネルギッシュな文化に魅了された一人です。

今回から5回連続で、「Happiness Architect」プロデュースにより実現した、イギリス人社会起業家 Richard Brownsdon(以下リチャード)と、ローカルデザイナー・内田友紀のコラボレーション企画 「Inspiring Adventures –世界のチェンジメーカーを訪ねる旅:ブラジル編」の様子を紹介していきたいと思います。

リチャードは「旅 × 社会起業」をテーマに、ロンドンで「Inspiring Adventures」という会社を立ち上げ、インスピレーションあふれる旅を企画し、チェンジメーカー同士をつなげる取り組みを行なっています。2013年1月にはクラウドファンディングを通じて資金調達をし、2月5日より念願ブラジルへの 「Inspiring Adventures」を実現させました。

今企画では、リチャードが旅を通じて知ったソーシャルプロジェクトと ブラジルの魅力を、存分にお届けします。世界から注目が集まるブラジル5都市のソーシャルイノベーション・シーンをつづる連載、ぜひお楽しみください。

最初の目的地は、海と太陽の街、リオデジャネイロ!

<巨大なブラジル、太陽に愛された街リオデジャネイロ>

人口約2億人、総面積は日本の約22倍という巨大なブラジル。経済成長の著しさでも世界中から注目されています。

このブラジル第二の都市、リオデジャネイロ。南東部に位置する港湾都市で、海に面して激しく起伏する丘の景色がとても美しく、ブラジルの中でも絶大な人 気を誇る街です。この街は今、次回W杯とオリンピックのホストとして大注目の街であると同時に、貧富の差も激しく、陽と陰が混じり合う混沌とした街でもあります。

<かつては危険度AAクラスの街だった「ファベーラ」>

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ファヴェーラ:カンタガロの景色。山の傾斜に張り付くように家が並ぶ

「ファヴェーラ」という言葉をご存知でしょうか。ブラジルでスラムや貧民街を 指す言葉です。ブラジルのほぼすべての大都市には、不法居住者が建てた小屋が並んだり、既存の町がスラム化したファヴェーラが存在します。

リチャードはリオデジャネイロ到着後、コパカバーナ・ビーチ近くの丘に位置するファヴェーラの一つ、カンタガロという街を訪ねました。かつてはドラッグ の天国とも言われた街で、観光客はもちろん、現地の人々にとっても危険な場所です。今回彼は、英語教育をテーマに個人や団体に向けて支援活動を行ってい る地元の社会起業家Gabrial Abreu(以下ガブリエル)にカンタガロを案内して もらいました。

“危険な街”として知られるファヴェーラですが、近年、実は少しずつ街の様子が変わってきています。リチャードはこのファヴェーラで、Inspiring Adventure のテーマでもある魅力的なソーシャルプロジェクトに出会いました。

<音楽でファヴェーラを変える!>

リチャードとガブリエルが訪れたファヴェーラ、カンタガロにはコミュニティセンターがあり、ここではバレエや社交ダンスなど、たくさんのソーシャルプロ ジェクトが行われていました。

ここで彼らは、ジャズプロジェクトを運営しているLeonardo Januário(以下レオナルド)に出会いました。 彼はカンタガロの住民で、「Bela Arte Jazz(ベラ・アルチ・ジャズ)」というNPO団体を運営しているフリーミュージシャンです。

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Leonardo Januário

この団体はファヴェーラで初めてジャズバンドを結成した団体。ジャズのエネルギーを伝えるべく、この地の若者に向けて無料でジャズクラスを提供しています。この日もジャズを習いにきたファヴェーラの若者にむけて、レオナルドは丁寧に手ほどきをしていました。現在この団体には様々な支援により、18の楽器が寄付されています。

なぜこのようなプロジェクトを始めたのか、レオナルドに尋ねてみました。

「僕が初めてマイルス・デイビスやジョン・コルトランテのジャズを 聞いたとき、恋に落ちた感覚でした。ここファヴェーラに既にファンクミュージックやドラムスはあるけど、ジャズはまだなかったんです。だから、僕が育ったファヴェーラのみんなに、その素晴らしさと僕のジャズへ想いを伝えていきたいと思いました」

「それに、ファヴェーラは新しい文化・フュージョンに最適の場所なのを僕は知っていました。若い仲間たちが彼らのやり方でジャズを演奏する姿を見るのが待ちきれませんでした」

混沌とするファヴェーラを音楽の力によって変えていった様子が描かれている 『ファヴェーラの丘』というドキュメンタリー映画がありますが、レオナルド のストーリーはまるでこの映画の再現を見ているようでした。

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町中では「cme Graffiti」のメンバーが、ファヴェーラの子ども達と一緒に行ったアートプロジェクトがあちこちに目についた

レオナルドは自身の夢をこう語ります。

「将来この街を、ギャングやドラックディーラーで有名な街ではなく、あちこちでジャズがこだまする街にしたいです」

帰り道、リチャードたちの耳にサクソフォーンの練習する音が聴こえてきました。まだまだコルトランテやマイルス・デイビスほどではないけれど、レオナルドが夢見る「音楽が響く平和な街」に少しずつ近づいているのを感じました。

<自ら変化を起こす街>

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ファヴェーラ、カンタガロ。どんな街になっていくのだろう

ファヴェーラの多くは不法占拠により生まれたため、インフラも整わず、教育や就労の機会も不足し、犯罪の温床であることもままあります。ブラジル 国民の著しい貧富の差の産物ともいえ、不用意に扱えない問題です。

ですがこのような地域の未来に必要なことは、外部から物理的なインフラを整備することだけではありません。ここに住む人々のソーシャルセンスを育て、内面から変化していくことが必ずキーになってくると私は考えます。

その意味で、今回リチャードたちが出会った多くのソーシャルプロジェクトは、ファヴェーラに暮らす若者たちが自ら立ち上げ、ここに住む人々の暮らしに変化をもたらす大きな種ではないでしょうか。

次回はアフロブラジリアン文化溢れる街、サルバドールからお届けします!

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※本文中にも触れていますが、「ファヴェーラ」は基本的にはとても危険な街で、外国人が一人で訪ねられる場所ではありません。現地の人も専門機関や警察の同伴のもとに訪れています。一言でファヴェーラといっても様々なシチュエーションの街があり、とてもよくオーガナイズされた場所もあるかと思いますが、用心に超したことはありません。ご興味を持たれた際は専門機関へアクセスし、アポイントを取って万全を期して訪れてください。また、 文中のビデオでガブリエルが案内できる旨を話していますが、リチャードを通じたコンタクトをお願いします。

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