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<Entrevista> Swami Jr. スワミ・ジュニオール

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7月9日(火)と10日(水)、ブルーノート東京で開催された、渡辺貞夫コンサート「オウトラ・ヴェス~ふたたび~」。これはブラジル、サンパウロで録音された同名アルバム「オウトラ・ヴェス~ふたたび~」(ビクター VICJ-61685)の発売を記念したツアーの一環で行われたもので、演奏陣はアルバムの参加メンバーを中心に、ブラジルから迎えられたミュージシャンで編成されていた。

その中の一人、ヴィオラォンを担当していたのがSwami Jr. スワミ・ジュニオール。7弦ヴィオラォン奏者として、プロデューサーとして、MPB(いわばブラジルのニューミュージック)界~インスト音楽界の第一線で活躍している彼は、現代のブラジル音楽を牽引している音楽家の一人だ。

ソロでも2枚のアルバムを発表しているが、1枚はゲスト歌手を数多く迎えてのポップス仕様、もう1枚はショーロのスタイルを土台にしたインスト現代音楽仕様といった風情で、彼の異なる面がそれぞれ表現されている。

「最初にヴィオラォンを教えてくれたのは父だった。プロフェッショナルの音楽家ではなかったけどね。父はよくドリヴァウ・カイーミの音楽を弾いていたから、カイーミの音楽を聴いて育ったようなものだね(笑)。ボサノヴァが生まれる前の、40~50年代の音楽さ」

その後、サンパウロのアートスクール、プロアルチでAlfredo Scupinariアウフレッド・スクピナリに師事した。ショーロはもとより、クラシック音楽の教育も受けている。

「僕のヴィオラォンの土台はブラジル音楽だけど、MPBを演奏するにしても、基礎としてクラシック音楽は演奏できなければいけないと思ったんだ。ヴィオラォンを弾く以上はね」

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世代的にはトロピカリアも体験、ロック世代ともいえるスワミだが、エレキギターは手にしなかった。

「エレキギターは、聴くのは好きだよ。ロックももちろん大好きだ。歌謡フェスティヴァルの時代にはカエターノやジウたちのトロピカリアもよく聴いていたし。でも自分では弾かなかった。今も弾かない。ナイロン弦のヴィオラォンの方が好きだからね。当時からショリーニョを好んで弾いていた」

70年代末、スワミはパリへ旅立つ。80年代にパリでさまざまな音楽と出会ったことは音楽家としてのスワミを大きく成長させた。

「僕の若いころはまだ軍事政権下で、ブラジルでは音楽を聴くことも演奏することも、多くの制限があったんだ。音楽的には孤立していた。だからパリへ行ったんだ」

「パリでは、アフリカの音楽や、チェット・ベイカー、ジム・ホールなど合衆国のジャズ、ニューウェイヴのポリス、ジャマイカのボブ・マーリィなど、ブラジルでは接することがむつかしかった世界中のいろんな音楽に出会えた。僕の目を、とても大きく見開かせてくれた」

「4年近くパリにいて、あるグループに加わってヨーロッパをあちこち旅した。ジプシーの音楽にも出会った」

「ジム・ホールなどジャズのギターにも、もちろん影響を受けている。でも僕の演奏の土台になっているのはまぐれもなくブラジルのギター音楽だ。ショーロ、ボサノヴァ...。Raphael Rabello ハファエウ・ハベーロ、Marco Pereira マルコ・ペレイラ、そしてなにより、Baden Powell バーデン・パウエル。バーデンは僕のヴィオラォンの学校だよ」

渡辺貞夫との共演は、気心の知れた仲間を交えての共演だったこともあり、すんなりと全員で楽しむことができたという。

「サダオと一緒に演奏できるのはとても名誉なこと。アフリカ音楽の影響も強く持っているし、もちろん日本人の情緒もあるんだろうね。でも彼はブラジル人のように演奏するし、ブラジルのことをすごく分かっている」

「「オウトラ・ヴェス」では、バンド全員が一緒にスタジオに入って、ライヴのように演奏したんだ。もちろん基本的なアレンジはサダオが考えていたんだけど、サダオは自由に演奏させてくれた。だから僕らは、これはどう? という具合に自由にセッションしながら演奏できたんだ」

ブルーノート東京でのステージでもアドリブを交えて演奏された「ペロウリーニョ」という曲は、もともとはサンバのアレンジが施されていたという。スワミのギターが繰り出すリズムが印象的な曲だ。

「これもスタジオで生まれ変わった曲。セウソ(・ヂ・アウメイダ)が、この曲はアフォシェーが合うんじゃないかと言い出したんだ。曲名もバイーアの地名だしね」

プロデューサーとしても、MPB作品からインスト作品までを手掛けるスワミ。ヴィオロニスタとしての仕事とプロデュースの仕事で、最も違う点とは?

「プロデューサーとして作品にかかわるときは、主役の世界に入り込んで客観的に世界を創り上げていくけれど、自分の作品は頭に浮かんだことをそのまま表現すればいいから、両社はまったく異なる作業だね。他人の作品をプロデュースする時には僕が持っている技術や知識をその中で生かすけれど、同時に、僕も学ぶことが多い。自分の音楽にフィードバックできる」

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最近は、サンパウロの女性歌手Drê(デレ)のデビュー・アルバムをプロデュースしたばかりだ。自作曲のほかに、アントニオ・ロウレイロ、ペリ、ヴァウテル・サントスなどの曲を取り上げているこの作品は、スワミらしく、ヴィオラォンの音を軸に据えた現代音楽的な面も持った意欲的な作品だ。

「これまでいろんな作品で活躍してきたけどリーダー作はこれ初めてになる。とてもいい歌手だから注目株だよ」

<スワミ・ジュニオール>

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Swami Antunes Campos Júnior スワミ・アントゥニス・カンポス・ジュニオール。

1958年8月26日、サンパウロ州サンパウロ市生まれ。

violão de 7 cordas 7弦ヴィオラォンの名手にして、プロデューサー、アレンジャー、作曲家としても活躍。現在のMPB界の重要人物の一人。

出身はサンパウロ。12歳でAlfredo Scupinarアウフレッド・スクピナールからクラシックギターを学んだ。

90年代からソングライターとして頭角を現わしはじめた。Zizi Possi ジジ・ポッシ「Bom Dia ボン・ジーア」(Paulo Freire パウロ・フレイリと共作、アルバム「Valsa Brasileiraヴァウサ・ブラジレイラ」(94)収録)、Vânia Bastos ヴァニア・バストス「Fim do Anoフィン・ド・アノ」 (José Miguel Wisnik ジョゼー・ミゲウ・ヴィズニッキと共作、「Diversões Não Eletrônicasヂヴェルソンイス・ナォン・エレトロニカス」(97)収録)、Virgínia Rosaヴィルジニア・ホーザ「Vou na Vidaヴォウ・ナ・ヴィーダ」 (ヴィルジニア・ホーザと共作、「Batuque バトゥッキ」(97)収録)などを手掛けている。

演奏では、Rumo フーモ「Rumo Ao Vivo フーモ・アオ・ヴィーヴォ」(92)、Fábio Tagliaferri ファビオ・タグリアフェヒ「Viola ヴィオラ」(97)、José Miguel Wisnik ジョゼー・ミゲウ・ヴィズニッキ「São Paulo Rio サンパウロ・リオ」(00)、Ceumar セウマール「Sempre Viva センプリ・ヴィーヴァ」(03)などに参加。

2000年にサックス奏者Mané Silveiraマネー・シウヴェイラとの双頭名義作「Ímã イマン」(Núcleo Contemporâneo)を発表。

2002年にはElza Soares エウザ・ソアーリス「Do Cóccix Até O Pescoço ド・コシス・アテ・オ・ペスコッソ」やVanessa da Mata ヴァネッサ・ダ・マタ「ヴァネッサ・ダ・マタ」(一部)、2010年にはショーロの名作、Marco Mereira マルコ・ペレイラ「Cristal クリスタウ」や、Geraldo e os Amigos do Rumo ジェラウド・イ・オス・アミーゴス・ド・フーモ「
Sopa De Concha ソパ・ヂ・コンシャ」(一部)などをプロデュースしている。

2003年には、ブエナ・ビスタ・ソーシャル・クラビの一員としても知られるキューバの Omara Portuondo オマーラ・ポルトゥオンドのアルバム「Flor De Amor」に参加。2007年作「Gracias」ではオマーラと共同でプロデュースも手掛けている。2008年にはオマーラとマリア・ベターニアの共演作「Omara Portuondo e Maria Bethânia」をJaime Alemジャイミ・アレンと共にプロデュースした。

ソロワークでは、2007年、初のソロ・アルバム「Outra Praia オウトラ・プライア」を、2009年に2作目「Mundos Fundos ムンドス・イ・フンドス」を発表している。

前者はChico Césarシコ・セーザル、 Zeca Baleiro、ゼカ・バレイロ、 Zélia Duncan、ゼリア・ドゥンカン、 Vanessa da Mata ヴァネッサ・ダ・マタ、Luciana Alves ルシアーナ・アウヴィスなどMPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)界の歌手陣を迎えて制作されたが、後者はインスト作品となっている。

(ステージ写真/佐藤拓央 Takuo Sato、文/麻生雅人 Massato Asso、取材協力/ビクターエンタテインメント)

VICJ-61685

渡辺貞夫「オウトラ・ヴェス ふたたび」

http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A002549.html

ブルーノート東京 渡辺貞夫公演「オウトラ・ヴェス ふたたび」

http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/sadao-watanabe/

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