バイーアから世界へ。苦境をチャンスに変えた情熱的なデザイナー兼教育者レナ・サンタナ。今、真剣に考えるブラジルファッションの未来とは?

2013年 11月 4日

エシカルファッション レナサンタナ

—-イギリスでの拠点はどこにおいていましたか。

COCKPIT ARTSというインキュベーターで、若き才能のあるハンディクラフトメーカーに、売り場やアトリエを提供する非営利団体です。ロンドン中心部・ホルボーンと南東ロンドン・デプトフォードの2カ所にサイトがあり、当時も100近くのクリエイターが制作活動をしていました。そこに入りたいという待ちリストもかなりあって、私は本当に運良くちょうど一つ空きがでたところに呼ばれたのです。アトリエをここに置き、フランスのPrêt-à-porterにも参加しました。私のお客さんは実は、日本人が一番多かったんですよ。

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—-現在どのようなプロジェクトに取り組んでいますか。

コミュニダージ(かつてのファベーラを現在このように呼ぶ)にてボランティア活動をする傍ら、3年前の第1回目から参加しているParaty Eco Fashionでも今年、パラチー市にあるキロンボ(植民地期ブラジルの白人社会を脅かし続けた逃亡奴隷社会)にて、自立支援の意味も込め、住民と共に9月にファッションショーを行いました。彼らは保守的な方々なので、色々と大変な事もありましたが、時間をかけることが必要だと思います。また、実践的な私のやり方は合っていると思います。

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エシカルファッション レナサンタナ

エシカルファッション レナサンタナ

エシカルファッション レナサンタナ

—-今後どのようなことをしてみたいですか。また夢は?

すでに取り組んでいる前述したプロジェクトなどすでに叶ってしまった夢の一つですが、デザイナーになることを辞めた訳ではないのです。逆に、現在、これまでやってきてことを整理し、様々な活動を通して改めてコレクションを展開していきたいと思っているのです。また、今後パラチーに住居、アトリエを移す予定でいるので、それも楽しみです。

—-最後にあなたにとってファッションとなんでしょうか。

ファッションという言葉はとても象徴的な言葉で、様々に解釈できます。単に流行追うものではありません。ただ言える事は、ファッションはクリエイターによる自発的なものでなければいけないと思います。あなたがしたい、実現させたいと思うものである必要があります。結局、商業的にも成功させなければいけませんし、同時に芸術的でなければいけません。私にとってのファッションはシンプルさ、エレガンスさ、控えめなセクシーさだと思います。

(写真提供/Lena Santana)

著者紹介

平本明日美 Asumi Hiramoto

平本明日美 Asumi Hiramoto
リオデジャネイロ市在住ファッションデザイナー、プランナー。大学卒業後、サンパウロ市に1年滞在し、ブラジル文化の豊かさ、デザインのポテンシャルの高さに魅了される。帰国後、広告営業、企画の仕事に携わった他、2008年外務省日伯交流年事務局にて交流年のPR、広報に関わる。

2010年再度ブラジルに渡り、リオデジャネイロにて、幼い頃からの夢であったファッションの道を志すことに。ファッション技術コースを修了し、2012年、サステイナブル・ファッションブランドにてインターンを行う。現在、パターンの技術コースに通いながら、「教育とファッション」をテーマに同市で活動中。「A Boa Vida」(伊勢丹三越ホールディングス)、「A Boa Vida 2015」(伊勢丹三越ホールディングス ※サイトのみ)にも寄稿。
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