• MEGA★BRASIL 公式twitter
  • MEGA★BRASIL 公式facebook
ブラジルの新鮮なニュース、コラムを独自の目線から楽しくお届けします。もっとブラジルのことを知ってもっと好きになろう!

地ビール・ブームで新ビールが続々と登場。
コロラードがロックバンド、チタンスのビールを発売

チタンスビール

ブラジルのスーパーマーケットで見かけたものを紹介しながら、商品の背景を探ってみようという当コラム。今回は、スーパーのビール売り場で見かけた「Titãs(チタンス)」というビールの話題から。

チタンスと言えば1982年に登場したブラジルを代表するロックバンドのひとつ。アルナルウド・アントゥニス、ナンド・ヘイスなどが在籍していたことでも知られています。バンドはメンバーチェンジを繰り返しながら活動を続け、2012年には結成30周年も迎えています(デビューアルバムは1984年に発売)。

実はこのビールは、今年2014年にデビュー30年周年を迎えるバンドの長寿活動を祝って、2013年11月に発売されたビール。発売元はブラジルを代表する地ビール・メーカーのひとつ、「コロラード」。この「チタンス」もコロラードらしい、オレンジの皮を使って柑橘系の香りを加えた個性的なブラウン・エール・ビールです。

<ブラジルのビール事情>

キリンが2013年8月に発表した「2012年の国別ビール生産量」のデータによると、1位中国(44.348.100kl)、2位アメリカ合衆国(22.952.295kl)に次いで3位がブラジル(13.400.000kl)となっています。ちなみに日本は7位、5.590.845kl(発泡酒など新ジャンルのビールを含む)でした。この上位3国は2010年以来不動の順位ですが、ブラジルは前年比で1.5%の伸びを見せているだけでなく、4年連続で成長し続けているそうです。キリンによると、この傾向はリオ・オリンピックがある2016年まで続くだろう、とのことです。

そんなビール大国ブラジルでは、近年、ビールをめぐるさまざまな動きがでてきています。

大きな流れとしては、新興国市場の取り込みも視野に入れて、着々と市場の寡占化を進めてきた大手グローバル企業の動向に、ブラジルも巻き込まれている点が挙げられます。

ブラジルのビール大手、ブラマとアンタルチカが合併してアンベブ(AmBev)が誕生したのが1999年。その後アンベブが、世界各国で買収を進めてきたベルギーのインターブリューに合併されることで、2004年に世界最大のビール会社インベブが誕生しました。2008年には、インベブは、バドワイザーで知られるアメリカ合衆国のアンハイザー・ブッシュも合併してアンハイザー・ブッシュ・インベブとなりました。「Brahma ブラマ」、「Antarctica アンタルチカ」、「Skol スコウ」などのブランドはこのグループの所属ブランドです。

ブラジルで市場の2位につけているのが、2003年に発売されたブランド「Nova Schin ノヴァ・スキン」でおなじみのスキンカリオール(1983年設立)。同社は日本のキリンが2011年に完全子会社化したことでも知られています。ブラジルでは「Nova Schin ノヴァ・スキン」のほかに、「Devassa デヴァッサ」、「Baden Baden バーデン・バーデン」、「Eisembahn エイゼンバーン」などを発売しています。

このうち「Nova Schin ノヴァ・スキン」は、アンハイザー・ブッシュ・インベブの「Brahma ブラマ」、「Antarctica アンタルチカ」、「Skol スコウ」と同じく大工場で生産されるビールですが、「Baden Baden バーデン・バーデン」、「Eisembahn エイゼンバーン」は中小企業、場合によっては家内制手工業で作られる、いわゆる”地ビール”。ブラジルでは「セルヴェージャ・アルテザナウ」と呼ばれる種類のビールです。「Devassa デヴァッサ」も地ビールとしてスタートしています。

地ビール(セルヴェージャ・アルテザナウ)には、原料や味にこだわった、作り手のビール造りに賭ける情熱の賜物のような製品が多く味が個性的であることや、ラベルもカラフルで楽しいものが多く、近年、ブラジルでじわじわ注目を集めてきました。最近では地ビールを売りにするバールやボテッコも登場しています。

ブラジルの大規模な工業製品のビールは、日本のビールなどと比較すると味が薄めのものが主流ですが、地ビールは味が濃いもの、はっきりしたものが少なくなく、外国産のビールを好む消費者にも人気があるようです。そのためか、国産ビールの売り場ではなく、ショッピングセンターなどで、外国産ビールとい一緒に売られているのをよく見かけます。さらに地ビールの人気は拡大、2010年ころからは、街のスーパーマーケットでもよく見かけるようになりました。

colorado

<「コロラード」>

「チタンス」のビールを発売しているのは、サンパウロ州ヒベイラォン・プレットに1995年に設立された地ビール会社「コロラード」。同社のビールは、厳選された麦芽とホップに加え、マンジョッカ(キャッサバ芋、リオではアイピンと呼ばれる)、サトウキビから作った黒糖、コーヒー、蜂蜜、カスターニャ・ド・パラー(ブラジル・ナッツ)などブラジルならではの素材や、グアラニー帯水層とよばれる地下水を使って独創性のあるビールを作っています。くまの印がトレードマークで知られていて、ブラジルを代表する地ビール・ブランドのひとつとして広く親しまれています。

同社によると「コロラード」のビールは、ヒベイラォン・プレットに古くから伝わるビール醸造法を土台にしながら新しい技法も取り入れ、ブラジル人のアイデンティティを活かしたビール造りを心がけているそうです。今ではブラジルの15の州で販売されているほか、アメリカ合衆国、ヨーロッパにも輸出されているそうです。

「コロラード」のビールは種類も豊富で、現在、20種類以上がラインナップされています。

「Indica(インヂカ)」は、ブラジルで最初に作られたインディアペールエール。イギリスのビールにインスピレーションを受けているそうですが、黒糖が使われています。

「Cauim(カウイン)」は、伝統的なピルスナーですが、マンジョッカが使われています。麦芽は輸入されたもの、酵母はドイツのものが使われているそうです。サンタカタリーナ州で開催されるブラジル・ビール・フェスティバル2013で銅賞を受賞しました。

「Appia(アピア)」は、コロラードの定番でもあるハニー・ウィート・エール。大麦、麦芽、小麦、ホップ、蜂蜜、マラクジャ(パッションフルーツ)で作られています。こちらもブラジル・ビール・フェスティバル2013で銅賞を受賞。

「Demoiselle(デモイゼリ)」は、輸入モルトと、モジアナ地区産のコーヒーを使ったロブスト・ポーター。2012年に国際味覚審査機構(iTQi)から二つ星をもらっています。

また、「Vixnu(ヴィッシヌ)」は、黒糖を原料に加えたインペリアル・インディアペールエール。マラクジャや柑橘類の香りも特徴。2012年のアメリカ・ビール・カップで金賞を受賞しています。

「Ithaca(イタカ)」は、麦芽、ホップ及び焦げた黒砂糖で作られたインペリアル・スタウトです。

じわじわと盛り上がるブラジルの地ビール市場。「コロラード」だけでなくさまざまな会社が、個性あふれるビールを発売しています。スーパーで見かけた地ビールに関する話題、これからもお伝えしていきたいと思います。

(写真上/麻生雅人、写真下/Foto: divulgação)

※「コロラード」は「コロラド」と記されることもあります。

■関連記事
経済減速報道の中で本格化する日本の自動車メーカーのブラジル進出
ブラマ社がノンアルコール版「ブラマ 0,0%」を発売中
ブラジル映画祭2013で公開される映画「世界中の子どもが危ない」が問う、糖類入り飲料と肥満の関係
歌のように鳴く小鳥、「ウイラプルー」の伝説

このエントリーをはてなブックマークに追加

著者紹介

麻生雅人 Massato Asso  ブラジル文化の紹介、文筆、TV・ラジオ番組、ブラジル関連催事企画広告監修、編集、音楽選曲。Mega Brasil編集長。2001年以来、年に数回渡伯してブラジル各地の食文化、トレンド、伝統芸能などを調査。

編著に「A Boa Vida」(三越伊勢丹ホールディングス)、「A Boa Vida 2015」(三越伊勢丹ホールディングス、※サイトのみ)、「ブラジルカルチャー図鑑(共同編集:山本綾子)」(スペースシャワー・ブックス)、「ブラジリアン・ミュージック」「サンバ」(以上シンコー・ミュージック)など。「るるぶ ブラジル・アルゼンチン」、「R25」、「アウテルナチーヴァ」など旅行ガイド、雑誌、ブラジル音楽CD解説などにも執筆。

出演は「ボサノバ最高の詩人モラエス」(NHK-FM 13年11月)、「日曜喫茶室」(NHK-FM 14年5月)、「爆笑問題の日曜サンデー」(TBSラジオ 14年6月)、「ブラジルまるかじり紀行」(NHK-FM 14年6月)、「ブラジルまるかじり紀行2」(NHK-FM 15年6月)、「今日は1日ブラジルまるかじり三昧」(NHK-FM 16年7月)、「ノンストップ」~<そもそもシュラスコとは何?>(フジテレビ 16年8月)など。

講演は「第一回ブラジル食品展示会」(駐日ブラジル大使館 16年2月)、「第二回ブラジル食品展示会」(駐日ブラジル大使館 16年8月)、「ブラジルはなぜカラフルなのか」(パナソニックセンター、16年8月)、「カラフルでおいしいブラジル」(LunchTripブラジル便 16年10月)、「ブラジル食品飲料市場の最前事情 国内地方産物への注目とQOL志向の高まり」(日本ブラジル中央協会 17年1月27日)など。

最新刊は「おいしいブラジル」(スペースシャワー・ブックス、16年)