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ブラジルで女性専用車両などチカン対策の検討進む

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ブラジルの各地で、チカンなど公共の場での性的な暴力や虐待を受けなくてもすむ地下鉄の女性専用車両、通称「バラのワゴン」の設置を広める動きがでてきているという。

しかし、「バラのワゴン」を始めたからといって暴力を減少させることはできないと専門家は口を揃える。現地メディア「エスタード・ヂ・ミナス」(4月6日付け、電子版)などが伝えている。

リオデジャネイロでは、混雑ピーク時の女性専用車両がすでに運航されているという。サンパウロ都市圏鉄道会社(CPTM)が運航するいくつかの列車で、1995年にこのアイディアが採用されたが、成功していないという。

現在、同州議会の議員たちは、公共旅客運送企業に対して女性専用車の義務付けを求められる法案を研究しているという。ただしこのプロジェクトを実現するためには、さらなる検証を行い、最終的にジェラウド・アウキミン州知事の承認を得なければならない。

公共の乗り物で女性専用車両を設けたからといって、犯罪が減少したわけではないと語るのは、社会学者のマリリア・モスコヴィッチさんと、世界女性のマーチという組織の闘士でもあり永久フェミニズム協会(SOF)のメンバーでもあるソニア・コエーリョさん。

マリリアさんは、女性を隔離することの問題点を指摘する。女性専用ワゴンは、社会が早急に必要としているものではないというのが彼女の見解だ。公共の場所における対策の対策にすぎず、ワゴンの存在が、社会における女性と男性との関係を変えるわけでもないという。

「女性だけに限られて利用できる車両の存在は、男女平等という考えを否定する面も持ってしまいます。そもそも、限られた場所と時間だけ安全という状況自体がおかしいのですから」(マリリア・モスコヴィッチさん)

さらには、専用ワゴンを作ることは、通常の車両に乗っている女性にはどうぞ暴力を働いてもいいですよという意味を持ちかねないと危惧する。

「私たちは社会の中で、男性と女性、白人と黒人などが、分離される社会に暮らしたいわけではありません。どんな場所であっても女性が尊重される社会であってほしいのです」(ソニア・コエーリョさん)

ソニアさんは、地下鉄はものすごく混雑しているため計画は成功するとは思えないという。

「そもそも公共の乗り物の利用者の58%が女性だと言われています。半数以上の女性の乗客をどうやって隔離するのか、現実的とは思えません」(ソニア・コエーリョさん)

ブラジルならではの別の問題もある。男女の境界を明確にすることは難しいという。

「ブラジルは世界の中でもトランスジェンダーの人たちが自分を殺して生きなければならない国です。トランスジェンダーの人たちは社会から拒絶されながら、男性と女性の両方のアイデンティティを持っています。この文脈からも男女の線引きを行うことは難しいでしょう」(マリリア・モスコヴィッチさん)

女性専用車両が取りざたされるのは、そもそも社会の中で男女が平等ではないためだとマリリアさんは言う。「社会の中で女性はまだモノとしか見られていません。女性の身体が商品として流通している社会の中で法整備が遅れていることも問題です」とも。

「応用経済研究所(IPEA)のアンケート調査で26%が、“ボディを表わす服を着ている女性は襲われて当然”と考えているという結果が出ています。当初この数字は誤って65%と示され訂正されましたが、実際の数字が小さいからと言って、女性に起きている立場が異なるわけではありません。女性は公共のどんな場所でも守られなければならない状況にあることは変わりありません」(マリリア・モスコヴィッチさん)

被害者であるにもかかわらず、被害者の女性が悪者扱いされるケースも少なくないという。

「被害者が責任を問われるなど、あってはならないことです。早急にすべきことは、被害に遭った女性が被害を訴えられる環境を整備することです。バスや電車に監視カメラを設置することもひとつの案です。チカン防止のキャンペーンも必要でしょう」(マリリア・モスコヴィッチさん)

(文/麻生雅人、写真/Fábio Rodrigues pozzebom/Agência Brasil)
写真はブラジリアの地下鉄の女性専用車両「バラのワゴン」。利用者女性の多くは性的虐待を受けずにすみ安全に感じていると答えているという

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