ヘシーフィ(レシフェ)のアフーダ・スタジアムで、投げられた便器に当たり観客が死亡。容疑者の弁護士がコメントを発表

2014年 05月 6日

5月2日(金)、日本戦が予定されているヘシーフィ(レシフェ)を舞台に、サッカーのサポータ―が死亡する事件が起きた。

同市にあるアフーダ・スタジアム(エスタジオ・ジョゼー・ド・ヘーゴ・マシエウ)で行われていたパラナ対サンタクルース戦の試合後、観客席で上方の席から投げられた便器に当たり、溶接工パウロ・ヒカルド・ゴメス・ダ・シウヴァ(26)さんが命を落とす事件が起きた。

便器を投げた容疑がかけられているのはEverton Felipe Santana エヴェルトン・フェリッピ・サンタナ(23)と他2名とみられている。現地メディア(「G1」5月5日付け、電子版)がエヴェルトン容疑者の弁護士のコメントを発表した。

この日、同スタジアムではブラジル全国選手権(ブラジレイロン/ブラジレイラォン)セリエBの、パラナ対サンタクルース戦が行われていた。

便器が投げられたのはスタジアムの観客席からで、亡くなったパウロさんの他にも数名のサポーターがけがをしたという。けが人の一人はジェトーリオ・ヴァルガス病院に入院したが、5日に退院した。また別にも入院したサポーターがいたが詳細は不明とのこと。

軍警察は電話による犯罪通報インフォーメーションがきっかけで、エヴェルトンを容疑者として逮捕した。

エヴェルトン容疑者の弁護士 Adelson José da Silva アデウソン・ジョゼー・ダ・シウバ氏は、「パウロ氏は犯行に参加したことを認めていますが、動機はまだ不明です。スタジアムには純粋に試合を見るためにやってきたが、そういう(便器を投げる)気分になってしまったそうです。彼は確かに、便器を投げれば誰かに当たるかもしれないことはわかっていましたが、誰かをめがけて投げたわけではないといっています。彼は自分のやったことを認め、後悔しています。そして罰も受ける、家族に対しても友人に対しても恥ずべきことをしたと話しています」と語った。

アデウソン弁護士は、今回のエヴェルトン容疑者をどのような立場で考えればよいか現時点では判断できないという。殺意はなく、なんとなく便器を投げたい気持ちになったと語っており、保釈または投獄されずに済むように対策したいという。

「エヴェルトン容疑者は学校の事務員で、労働者手帳も持っており身元もはっきりしているため、保釈は難しくないでしょう」
(アデウソン弁護士)

またエヴェルトンはスタジアムに来ていたがどちらのチームのサポーターかははっきりしていないという。また犯行に関わったとみられている他の2名については、一人は以前からのエヴェルトン容疑者の知人で、もう1人はその日にスタジアムで知り合い意気投合した男性だという。2人は現在、行方がわからないという。

殺人及び人身保護部(DHPP)のグレイジ・アンジェロ署長はジャーナリストの前に現われながらも「メディアの対応としてこの場にいますが、現時点では何もお話しできません。現在まだパウロ容疑者の身柄は拘束中です」と語った。親族も警察署に現われたがプレスに対して発言はなかった。

また、現場を捉えた映像によると、投げられた便器は2つあると見られている。24メートルの高さから投げられた便器は地上近くでは350kgくらいになっていただろうと、犯罪科学研究院(IC)の科学教授ベルナルド・ネト氏はいう。

被害者のパウロさんは4日、サントアマーロ墓地に埋葬された。パウロさんはアトランチコ・スウ造船所の溶接工で、葬儀には数百名近い人が訪れたという。

CBFは、スポーツ最高裁判所の調査が終わるまでアフーダ・スタジアムでの試合を控えることを発表した。同球場をホームグラウンドとするサンタクルースのAntônio Luiz Neto アントニオ・ルイス・ネト代表は、警備は厳重に行われていたはずだが事件は起きてしまい、この件ではクラブも被害者だという見解を示した。

(文/麻生雅人)