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ブラジルから遠く離れた南太平洋の小さな島で起きた
ワールドカップブラジル大会に関するもうひとつのドラマ
映画「ネクスト・ゴール!」

NG_トライベッカ映画祭01

南太平洋に浮かぶ島国米領サモアは、2014年5月現在、FIFAランキングで197位。かつて、10年以上に渡り最下位を独占していたのだという。

このチームは2001年に、2002年のワールドカップ日韓国大会のための予選でオーストラリアに0対31で大敗。国際Aマッチ史上最大点差という記録を作って歴史に名を残している。

その米領サモアが2014年のワールドカップブラジル大会の予選に出場。この予選を彼らがどう戦ったのか、記録をしたのが、映画「ネクスト・ゴール」。実話を記録したドキュメンタリー映画だ。それも、“これ以上ないほどドキュメンタリー映画らしいドキュメンタリー映画”だといえるだろう。

なぜならこの映画は、撮影スタッフ、FIFAに派遣されてきた外国人監督、米領サモアのチームの面々など、映画に関わったすべての人がこの映画の制作を通じて影響を与え合い、互いに深く関わりながら、この映画に記録されたドラマを生み出す要因となっているからだ。

映画を監督したのは、イギリスの広告制作会社の映像スタッフでもあるマイク・ブレットとスティーブ・ジェイミソン。学生時代にサッカーを通じて知り合った彼らは、卒業後に共同で広告制作会社を企業。サッカーに関わるスポーツ・ブランドのコマーシャルを制作してきた。

そんなマイクとスティーヴが、2001年の歴史的大敗を知り、米領サモアチームに密着した映画を思いついたのだという。ただし、密着しても、必ずしもドラマが起こるとは限らない。映画に適したキャラの立った選手がいるとも限らない。

しかし、大いなる賭けに出た彼らに、ドキュメンタリー映画の神様は微笑んだ。

マイクとスティーヴは、予選の準備が始まる随分前から島に入り、長い時間を島の人々と過ごしてから撮影をはじめた。彼らは心から、米領サモアの人々のことが知りたかったからだ。

2001年に世界中から笑いものにされるような大敗を喫して以来、米領サモアチームはその後の約10年、1ゲームたりとも勝ちもしなければ引き分けてさえもいないという。それなのに彼らは、サッカーを愛し続け、ピッチに立ち続けてきた。ただサッカーが好き、というだけでは説明のつかない彼らの不屈の行動をみて、彼らが持っているサモアの心や魂が一体どんなものなのか、知ってみたくなったのだ。

サッカーを取り巻くスポーツビジネスの世界に長く身を置いていたマイクとスティーヴにとってこの映画の撮影は、サッカーに対する純粋な気持ちを取り戻す旅でもあったようだ。米領サモアチームのメンバーと朝から晩まで共に過ごし、共にサッカーをする日々の中で、サッカーってなんでこんなに楽しいんだろう、という、かつて彼らが抱いていた気持ちが、改めて二人の中で育まれていった。

そんなマイクとスティーヴのサッカーへの想いに、米領サモアチームのメンバーたちも共振したことだろう。彼らのサッカーへの愛をより強固なものにした面も、きっとある。

映画にとってはひとつのドラマを生む結果となった、オーストラリア人監督トーマス・ロングの赴任もまた、チームにとっても映画にとっても、結果的には歓迎すべきアクシデントとなった。トーマスもまた、マイクとスティーヴと同様に、米領サモアの人々と心から触れ合う中で彼自身も影響された。その気持ちが米領サモアの人々にフィードバックされ、彼らの持っていた強さを引き出す結果につながったのだろう。

かくて、映画を撮る側と撮られる側が互いに関わり合い影響し合いながら、やらせではなく、生まれるべくして生まれたピュアな物語が作り上げられていった。しかも、言葉を超えて魂で交流ができるサッカーというスポーツを通じて。

米領サモアの文化の素晴らしさ、サッカーの素晴らしさ、そして映画の素晴らしさ、そのどれもを、映画「ネクスト・ゴール」は見せてくれる。

映画「ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦」
5/17(土)~角川シネマ他にて全国劇場公開、オンデマンド同時配信。配給/アスミック・エース

http://nextgoal.asmik-ace.co.jp

(文/麻生雅人、写真提供/アスミック・エース)
写真はトライベッカ映画祭に出席した米領サモアチームとトーマス・ロング監督

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