2014年 05月 15日 01:49
ギリギリまでワールドカップのために準備してきたプロジェクトのいくつかが、ワールドカップまでに間に合わせることができない目算が高くなってきた。
合衆国のメディア「ワシントンポスト」(5月7日付け)にドン・フィリップス記者が計画の遅れているプロジェクトにスポットを当てた記事を掲載しているが、その口調は厳しい。
クリチバのサッカースタジアムには、隣接するようにビルが建てられている。建築中の6階建てのビルは鉄骨だけの姿で、やけに目立つ。実は完成すれば、W杯の国際メディアセンターになるはずだった。しかし、ホイッスルが吹かれる時は一刻一刻と近づいている。1ヶ月後に完成しない場合、世界中から集まるジャーナリストたちはビルの横の駐車場に建てられる大きな仮設テントに押し込められるだろうと語る。
FIFAはプランBを用意していたという。クリチバ市のワールドカップオペレーションを担当する市役所の関係者は「その造りかけの建物は使用されることはないだろう」と述べた。クリチバのメディアセンターは最新の例だが、多くのプロジェクトが、完成が大会後に延期されるか、計画の放棄が決定されるまで、中途半端な状態で放置されることになりそうだ。
同市の南部で進められている、サンパウロのコンゴーニャス国内線空港にリンクするモノレールは、元々ワールドカップのために計画された。しかし2015年まで準備ができない見通しである。
混雑が予想されるグアルーリョス国際空港の新ターミナル3は、予定では25社の航空会社が利用できるはずだったが、W杯の時点ではその内の8社しか使えないことになった。
北東部の都市フォルタレーザでも、旅客ターミナルを拡張する作業が完了しなかったし、空港当局は「暫定のターミナルが90日間だけ、使えるようになる」と述べた。クイアバで計画されていた光レール事業も、2014年内にオープンすることはほぼないようだという。
いまとなっては、仮にワールドカップには間に合わなかったとしても、それぞれの施設がきちんと完成して、ブラジルの人々の生活に役立つ施設となることを願うばかりだ。そうでなければ税金の使い道を国民に問われることになってしまうだろう。
(文/加藤元庸、写真/Henrique Bolgue/Blog do Planalto/Alexandre Carnieri/Studio Gaea e Mauricio Mano/Atlético Paranaense)
クリチバのアレーナ・ダ・バイシャーダ。スタジアム自体は2月までに90%以上は完成しており試合の開催は決定している
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