ブラジル、今年の「恋人の日」商戦は苦戦!? それでもラインナップ続々。チョコレートでは高カカオ含有チョコも注目!?

2014年 06月 2日

ブラジル高カカオ含有チョコ

ブラジルでチョコレートの消費が圧倒的に高まるのは4月ごろに行われるパスコア(復活祭)の時期ですが、恋人の日、クリスマスシーズンなど、贈り物が行われる時期にも注目されるようです。

6月12日は恋人の日ということで、ブラジルではファッション、化粧品、雑貨など様々な分野の企業がプレゼント商戦の企画を打ち出しはじめています。ただし2014年はワールドカップの開催日と重なっているため、例年のような盛り上がりが期待できないという市場の声もありますが…。

それでも、恋人の日向け商品は紹介されています。デンマークの「コペンハーゲン」はブラジルに古くから進出して高級チョコレート市場で人気を得ていますが、現在同社は「恋人の日」のプレゼント用キットのひとつとして、ウィスキーのジャックダニエルのミニボトルと70%カカオ含有チョコのキットを85レアル(約4250円。※1レアル=50円で換算)で売り出しています。

さて、高カカオ含有チョコが注目を集めはじめているブラジルではありますが、まずはブラジルにおけるチョコレートの基準をお話しておこうと思います。

現在のブラジルにおけるチョコレートの定義ですが、チョコレート製造業者らで作るブラジルカカオ・チョコレート・アーモンド・飴及び副産物工業会(ABICAB)の規定より、カカオを25%以上含む製品のみが、チョコレートとみなされています。

1978年以降は、32%以上のカカオを含む製品をチョコレートと定義されていましたが、2005年よりこの数字は25%に引き下げられました。日本では、チョコレートとみなされるために必要なカカオ成分は35%以上と厳しく規定されています。

ただし、ブラジルではパッケージへのカカオ成分の表記義務はなく、チェック体制もないため、表記されているカカオ成分率の信ぴょう性はほとんどないとする意見もあります。

現地メディア「UOLエコノミア」(2013年7月10日づけ)によると、カカオバターの代用脂肪分に関しても使用制限がないため、健康面への影響を懸念する声もあるそうです。

さらには、ブラジルでチョコレートとして販売されている製品のうち、3つに1つはカカオ成分が5%にも満たず、チョコレートとはとても呼べないというのが現状だと同紙は報じています。

さて、そんなブラジルで、チョコレートの嗜好に少しづつ変化が起きているようです(次ページにつづく)。

(文/井川裕美子、写真/Divulgação)
写真はブラジル「コペンハーゲン」のジャック・ダニエル・キット。カカオ70%チョコレートは2種類の味が選べる

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著者紹介

井川裕美子 Yumiko Ikawa

井川裕美子  Yumiko Ikawa
2010年、ブラジル人との結婚を機に、ブラジル南部のサンタカタリーナ州に移住。大の甘党で、自称スウィーツホリック。特にチョコレートをこよなく愛する。地元のチョコレート工場で働いた後、自宅にてブラジル産有機カカオバターとカカオパウダーを使った高カカオチョコレート作りを始め、カカオのおいしさに目覚める。チョコレートの真髄であるカカオを肌で知るため、バイーア州イタカレのカカオ農園を訪れる。チョコレートを通じた日本とブラジルのさらなる交流拡大を目指し、チョコレート大使として、まずはブラジル産チョコレートを日本に普及すべく尽力中。

連絡先はyikawa79@yahoo.co.jp
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