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ブラジル経済の失速をくい止められるのは誰か? 大統領選を前にマイナス要素が出揃う

インフレ2014年9月

ブラジル経済の失速を伝える報道は、すでに日本のメディアでも珍しくなくなったが、大統領選を前に意図的かどうかは別にして、マイナス要素が出揃ってきた感がある。

まずはGDP(国内総生産)だが、ブラジル地理統計院(IBGE)が8月29日に発表した4-6月期GDPはリーマン・ショック時以来の2四半期連続でマイナスとなり、徐々にリセッション(景気後退)に向かって進んでいる現状が浮き彫りとなった。

これは、ワールドカップ、大統領選挙と続き、海外からの投資や設備投資が手控えられたことが大きく響いているが、明らかに労働党政権下での経済運営の失敗といえよう。

失業者数も新規雇用者数を上回っており、8月の失業保険の支払い額が急増している。これは、6月、7月分の支払いをわざと遅らせて財政収支の悪化を小さく見せようとしたという話もあるが、どちらにしても失業者が増えていることは確かだ。

一方、セラーザ・エクスペリアン(クレジット審査等銀行業務集中サービス機構)が8月27日に発表した数字によると、7月の企業のデフォルト(債務不履行)率が前月比12.9%増と2000年の統計開始以降7月としては最高値だった。前年同月比でも11.4%増となり、業績悪化が著しいことがわかる。

これまでブラジルの経済成長を牽引してきた自動車産業も例外ではない。欧米の自動車各社は、集団休暇の実施や、自主退職制度を導入するところも出てきた。また、フォルクスワーゲンやGMはレイオフ(一時解雇)をすでに発表している。

さらに追い打ちをかけるように、ブラジルの貿易相手としては大きな比率を占めるアルゼンチンで、キルチネル大統領に反対する3つの労組による24時間ストが起こっており、予断を許さない状況となっている。

国際社会に対しデフォルト宣言をしたばかりのアルゼンチンが国内でも厳しい状況に陥りつつある。ブラジルを取り巻く国際情勢も複雑さを増している。

暗いニュースが多い中で、まだまだブラジルに希望を感じる発表が、上記IBGEから2つあった。

ひとつは、8月28日に人口が1年間で173万5848人増え、2億276万人になったと発表されたこと。ブラジルの人口=市場は日本と違い、拡大を続けている。

そしてもうひとつは、4-6月期GDPの中で家計消費は前期比0.3%増とわずかながら上昇している点だ。所得がインフレ率とともに伸び、人口が増え、消費がまだ上向きのうちに、ぜひ経済を立て直してほしい。大統領候補者はそのための的確な経済政策を示して戦うべきだろう。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/Tânia Rêgo/ABr)

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