007シリーズの悪役ジョーズ役などで活躍した巨漢俳優リチャード・キールが他界

2014年 09月 12日

ジョーズ リチャード・キール

英国の秘密情報局MI6の諜報員ジェームズ・ボンドを主人公にした007シリーズ映画10作目「私を愛したスパイ」(1977年)で、ボンドの敵役ジョーズで人気を博したアメリカ合衆国の俳優リャチャード・キールが、9月10日、同国のカリフォルニアで他界した。死因は公表されていないという。74歳だった。ブラジルのメディア(「G1」同日づけ)が伝えている。

身長2m18cmという巨漢俳優リチャード・キールは、ブラジルを舞台にした007に出演したことでも知られている。

「私を愛したスパイ」でのジョーズ役は大人気となり、翌78年、同映画のヒロインを務めたバーバラ・キャロルと共に「ナバロンの嵐」に出演した。そして、79年には、再び007シリーズの11作目「ムーンレイカー」に出演。2作続けて同じ敵役が登場するのはシリーズでも異例だった。

「私を愛したスパイ」では鋼鉄の歯でボンドに襲い掛かる巨漢の怪物のようなキャラクターとして登場しながら、どこか愛嬌もあった。「ムーンレイカー」では愛嬌の部分が強調され、すっかりコミカルな描かれ方をしていた。

この「ムーンレイカー」こそが、一部、ブラジルを舞台にした作品だった。

ボンドがベニスからリオデジャネイロへやってきた日は、カーニバルの当日だった。まだサンボードロモができる前、リオブランコ大通りやバルガス大統領大通りで行進が行われていた時代。

カーニバルのどさくさに紛れて、任務で、とある企業に忍び込もうとするボンドの前に、カーニバルの巨大人形の中に隠れていたジョーズが襲い掛かろうとするが、人形の衣裳を着ていたジョーズは「シダーヂ・マラヴィリョーザ」の曲に乗って大騒ぎをする人々に大通りへ連れられていってしまう。

次は、ボンドが乗るパォン・ヂ・アスーカルのロープウェイのロープを噛みきりボンドをピンチに陥れるが、またも襲撃に失敗。それどころか、襲撃失敗の後、ジョーズの身辺にはまったく意表を突いた展開が巻き起こった。

(文/麻生雅人、写真/Divulgação/MGM)
「007 ムーンレイカー」で、パォン・ヂ・アスーカルのロープウェイのロープを噛みきるジョーズ(リチャード・キール)