デング熱対策、ブラジル、リオデジャネイロで共生細菌に感染させた蚊を自然界に放出。改良蚊がデング熱伝染をブロックする仕組みとは!?

2014年 09月 26日

デング熱 対策 ブラジル 細菌蚊

「これはとても自然で、独立したプロジェクトです。この地域に蚊が放たれた瞬間から、蚊はこの地に居つきます。オーストラリアでは2011年に10週間、蚊を放つ実験を行いました。今日までの2カ所のエリアの蚊は100%、共生細菌を保有しています」(モレイラ氏)

同時にモレイラ氏は、もっとデータを集めて研究を進めるためには実験エリアを広げる必要があると説いた。将来的に他に、南部(ゾナスウ)のウルカ、北部のヴィラ・ヴァウケイラ、ニテロイ市のジュルジューバという3つの地域がモニタリングされているという。

「これらの地域には通年、蚊がいます。ただし、人口や緑地が多いところもあれば少ないところもあります。現在、住民の人々にプロジェクトに協力してもらえるよう説明を行い、質問にお答えしているところです」(モレイラ氏)

蚊がどの地域に多くいるかを示す地図をつくるため、数十名の住民の住宅に罠を仕掛けて蚊を捕獲しているという。準備の結果がポジティブなものだったら、厚生省はブラジルの他の地域でも計画を遂行するという。

モレイラ氏は2009年にオーストラリアで行われた計画の初期に参加した。そこで調査している人たちと共に、ボルバキアに感染した蚊がデンギ熱ウィルスを移す割合が減っていくことに気付いた。

5年の間、この計画を行っていたグループのメンバーは、ボルバキアが共生している蚊をコロニーの中で育成してきた。蚊の育成のために、自発的に彼らは自分自身の腕を使っていた。その結果、数えきれないほど蚊に刺されたが、人を刺したこと出共細菌には変化が起きないことも確認された。また、同プロジェクトはベトナムやインドネシアでも行われている。

実験は国立健康監視局(ANVISA)、ブラジル環境再生可能天然資源院(IBAMA)、農牧供給省(MAPA)、国立研究における倫理委員会(CONEP)により、健康と環境に対して厳格な安全性の評価を得て行われている。

また厚生省のオズヴァウド・クルス財団(Fiocruz)に加え、科学技術省からも支援を受けている。ニテロイとリオデジャネイロの各市政府も地元で行われる計画に協力している。

ボルバキアはもともと世界中の60%の昆虫に共生している細菌。その中には足が長い種など、様々な種類の特殊な蚊がいる。そしてこの細菌は細胞の中に入っており、蚊が繁殖する過程で子孫に受け継がれていく。共生細菌はあくまで親から子へ受け継がれるもので、蚊が人間を刺すことで蚊に伝染するものではない。また、菌は人間に対しては害はない。

(記事提供/Agência Brasil、、訳文/麻生雅人、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)

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