ブラジル大統領選、ジウマ氏対アエシオ氏のテレビ公開討論は批判合戦に

2014年 10月 15日

バンデイランチステレビ討論出演のジウマ大統領

(10月)14日、バンデイランテス(バンデイランチス)局で大統領選の決選投票に向けた最初の公開討論会があり、ジウマ大統領(労働者党・PT)とアエシオ・ネーヴェス(ネヴィス)氏(民主社会党・PSDB)が論戦を行なった。

初回討論会は、ジウマ大統領がミナス・ジェライス州知事時代のアエシオ氏の行動を疑問視して徹底的に批判を仕掛けると、アエシオ氏がペトロブラス疑惑やインフレ高騰などを盾に批判を返すなど、白熱したものとなった。15日付伯字紙が報じている。

討論はジウマ氏の、アエシオ氏がミナス州知事時代に「2000年に議会で承認された憲法改正29条で決められた、州の保健投資をあなたは履行しなかったが」との質問ではじまった。

それに対しアエシオ氏は「あなたは情報不足だ。私は予算の12%以上を保健衛生部門に割いていたし、29条が正式に法制化されたのは私が知事を降りた翌年の11年だ」と切り返した。

またジウマ氏は、大統領選一次投票で、ミナス州内では43%の支持を得、40%だったアエシオ氏に勝利したことを、アエシオ氏の知事時代の業績に対する州民の評価の結果だとした。それに対しアエシオ氏は「(同氏への支持を表明した)マリーナ・シウヴァ氏への支持票14%を足せば私の勝利だ」と答えた。

さらにジウマ氏は、PT政権の代名詞的存在ともいえる福祉政策の「ボウサ・ファミリア」について、アエシオ氏が「その原型を作り上げたのはカルドーゾ政権だ」と主張すると、「でっちあげだ」と批判した。

一方でアエシオ氏も、「あなたは現在の伯国の所得転移の最大功労者はボウサ・ファミリアのように言うが、経済安定を招き、所得転移を促したのはまぎれもなくレアル・プランだ」と反論した。

一方、アエシオ氏はジウマ氏に、現在スキャンダルの只中にある、「ラヴァ・ジャット作戦」で逮捕されたパウロ・コスタ氏の暴露によるペトロブラスの贈収賄疑惑に関する質問を行なった。

ジウマ氏は「その問題に対する怒りは私も国民も同様だ」と答えた後、すぐにメンサロン・ミネイロや聖市地下鉄カルテル疑惑といった過去のPSDBの汚職問題に触れ、さらにはアエシオ氏が一族の敷地内に飛行場を建設した疑惑をも追及した。

これに対しアエシオ氏は「あの問題に対しては違法性がなかったと検察も判断したではないか」と返答。さらにジウマ氏から「ネーヴェス家には縁故採用がはびこっている」と指摘されると、あきれた表情で「嘘に嘘を重ねている」と答えた。

また、アエシオ氏は、ジウマ政権がインフレ目標上限の6.5%を守れそうにない状況を、政治経済局のマルシオ・オランド氏が「牛肉の値段が上がっているなら代わりに卵を食べよう」と発言したことを皮肉りながら追及した。これに対しジウマ氏は「インフレ率は年内には必ず上限までに収まる」と返した。

今討論会に関し、マスコミは「両者共に批判合戦に終始しすぎ、政策の話ができていない」と評価する向きが目立った。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Ichiro Guerra/Dilma 13)
10月14日、テレビ・バンデイランチスの公開討論に参加するジウマ・フセフィ(ルセーフ)氏