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法治国家ではあり得ないはずの不条理を抱えるブラジル

メンサロン事件裁判2012年

ブラジルは、民主主義国家であり、資本主義国家である。そして当然、法治国家でもあるはずだ。

1891年に共和国憲法を発布以来、何度か軍事クーデターで軍政になってはいるが、ずっと法律上は民主主義国家である。比較的最近の1985年まで軍政だったが、スムーズに無血で文民政権に移行したのも、そのような下地があったからだ。

先日の大統領選も直接選挙で、民主的に行われ、現大統領が再選を果たした。経済面も関税が高かったり、輸入規制があったりして、なかなか難しい面はあるが、基本的には資本主義に則って運営されており、外から見ればいわゆる「西側諸国」と位置づけられる。

しかし、実際はまだまだ法治国家からはほど遠い、と思わざるを得ない事件が数々と起こっている。

最近メディアで報道され、表沙汰になった11年にリオで起こった事件は、強烈にそれを裏付けた。

リオデジャネイロの女性交通取締官が、ナンバープレートがない車を免許不携帯で運転していた判事を取り締まり、罰金を科した。すると、その判事は取締官に「刑務所行きだぞ」と脅かし、実際に彼女を軍警に連行させ、「判事といえども神ではない」と言って罰金を科した彼女に、職権乱用だとして5000レアル(約22万5000円)の賠償金支払いを命じた。

一人ではこのようなことはできないので、当然軍警と判事仲間が組んでこのような無茶な法的措置が取られたわけだ。本来であれば裁判所、軍警こそ公権乱用も甚だしい。

賠償金が払えない取締官は、インターネットでカンパを募ったところ、1万4000レアル(約63万円)集まったのが救いだが、このようなことがおそらく全国で起こっているのであろう。

同様のことが国家規模でもなされている。

現与党の労働党の党首、元官房長官、元下院議長までが逮捕され、最高裁で審議されている汚職問題で、11年弱の実刑判決が出された。

これは、連立与党の大物政治家が実刑を受けたブラジル史上画期的な公判であったが、最高裁判事の任命権は大統領にあり、判事が退職をすると、次々と与党の息のかかった判事が任命され、当初11年弱の実刑判決だったものが、あれよあれよと言う間に減刑措置がとられ、1年足らずの服役で自宅軟禁が許可されるという、法治国家ではあり得ないことが起こっている。

企業にとっても、株主は投資家として扱われるだけではなく、出資比率に応じて公的債務に責任を取らされるという、普通の資本主義では考えられない面がある。

進出企業はブラジルの不条理面に要注意である。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/José Cruz/ABr)
写真は2012年10月22日、メンサロン事件審議が行われた連邦最高裁判所。ジョゼ・ジルセウ元官房長官(労働者党・PT)ら10人に有罪判決が下った。11月12日はジョゼ被告に10年10か月の実刑判決が下されたが...

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