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ブラジルの新経済閣僚と経済の実態

トンビニ氏とレヴィ氏

先日の大統領選挙を受けて、11月27日に来年からの新しい経済閣僚の発表があった。

下層階級の底上げなどの社会政策重視を訴えたジルマ(ジウマ)・ルセフ大統領の再選により、政権交代で経済立て直しを期待していた層はがっかりし、一部の海外投資家はブラジルへの投資を取りやめた。

残る投資家と国内の経済界は、せめて閣僚は労働者党(PT)の繰り人形ではなく、経済の分かる人を期待していた。

ルーラ前大統領はじめ、様々な人がアドバイスをしていたが、頑なにそれらを受け入れず、かなり迷ったようだがジルマ・ルセフ大統領は自分一人で決めた。

その結果、中央銀行総裁は結局続投となったが、それ以外は斬新さや革新性には欠けるものの、経済界からも期待を寄せられる人事となった。

まず、新しい財務大臣は、ジョアキン・レヴィ氏。

レヴィ氏の略歴を紹介すると、リオデジャネイロ出身の53歳。リオ連邦大学、米国シカゴ大学院卒業後、大学教授などを経て、IMF(国際通貨基金)、IDB(米州開発銀行)などの役員を歴任。その後ブラジルに戻り、財務省、企画省、国庫で要職を務めたあと、リオ州財務長官、民間銀行大手ブラデスコ系列会社専務と、産官学すべてを経験している異色の経歴の持ち主だ。

財務省は古巣で主税局長も経験し、ミスター・カットと言われたこともあるらしい。政治家ではないので、リップサービスも特に必要なく、官僚から上り詰めたわけでもないので、緊縮財政一辺倒ということもないだろう。少しだが民間の経験もあるため、経済界の声も吸い上げやすいだろう。

発表会見では、まずは来年の基礎的収支の黒字額も低めの1.2%とし、その後16年、17年を2.0%と高めていき、国内外の信頼回復を第一に考えることを表明し、手堅いところを見せた。

企画予算大臣は同じリオ出身で大学も同じだが、45歳とさらに若いネルソン・バルボーザ氏。

ニューヨーク社会研究大学院を卒業後、財務省、企画省、BNDES(社会開発銀行)、中央銀行にも勤めた。ヴァーレ社で要職歴任後、大学教授を経て就任。レヴィ氏と似た経歴であるが、政策面では対照的なところもあるようだ。両氏ともに政治家ではないが、それがプラスと出るかマイナスと出るか、今のところはわからない。

ブラジル中央銀行総裁は継続でアレッシャンドレ(アレシャンドリ)・トンビーニ氏に決まった。トンビーニ氏はブラジリア大学、イリノイ大学を卒業。IMFも経験しているが、ほぼ中央銀行のプロパーでトップまで上り詰めた中銀マンである。

最後に産業政策の要である開発商工大臣には、元ブラジル全国工業連盟会長のアルマンド・モンテイロ・フィリョ上院議員が指名された。ブラジル産業のことを熟知しており、経済界との折り合いも良い。

来年から4年間、この3閣僚にブラジル経済のかじ取りが託されるわけだが、足下の経済状況は、マクロもミクロも良くない。今年のGDP(国内総生産)成長率はほぼプラスマイナスゼロ。貿易収支も赤字転落で、ブラジルの基幹産業の1つである自動車業界は、大手メーカーが先月末から相次ぎ、集団休暇、希望退職、人員整理を発表している。14年1-11月期の自動車生産台数も前年同期比15.5%減と大幅にマイナスとなった。

ヴァーレも大幅減収減益、ペトロブラスも大型贈収賄事件の真っただ中であり、これまでブラジル経済を牽引してきた産業は軒並みダウンしている。新経済閣僚にとっては厳しい船出となりそうだ。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/Wilson Dias/Agência Brasil)
写真は11月27日、ブラジリア。就任発表を行ったアレッシャンドレ(アレシャンドリ)・トンビーニ氏(左)、ジョアキン・レヴィ氏(右)

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