経済活動(農業)で森を再生。アマゾンにおけるアグロフォレストリー(森林農法)の試み

2015年 01月 20日

アマゾン大冒険

映画「アマゾン大冒険 ~世界最大のジャングルを探検しよう!~」の中でも、森の中の多種多様な植物や動物たちが共に暮らし、互いに連鎖し合ってバランスを保ちながら森が成り立っている様子が描かれるが、アマゾンの森林の最大の特徴は、その生物の多様性にある。単一栽培は、自然のサイクルのバランスを崩してしまい、本来起きないはずの病原菌の蔓延が起こすこともあるのだ。

そして、アマゾンで起きている森林伐採は、地球の反対側という日本からはあまりに遠いところで起こっている話でありながら、実は他人事ではなく日本人の生活にも大きく関係しているという。

アマゾン大冒険

「そんな遠いところで起きていることは、私たちの生活と無関係のように思えるかもしれません。でも実はとても密接に関係しています。先進国の人々の胃袋を満たすために作られる農作物や食肉の中には、森林を伐採して作られた畑や牧場で作られているものもあるからです」

1分間に2千本というペースで森林伐採が進み、過去40年で森林面積の約20%を失ったといわれるアマゾンの熱帯雨林。そんな失われたアマゾンの森を、農業を中心とした経済活動を営むことによって再生していくアグロフォレストリー(森林農法)を、長澤氏はビジネスを通してサポートしている。

アマゾン大冒険

「私たちの会社が輸入しているアサイーの一部も、このアグロフォレストリーという農法で作られています。アグロフォレストリーとは、簡単にいえば、多種多様な木々が互いにバランスを取りながら成りたっているもともとの森の姿を、そのまま参考にして畑にした農法です」

アグロフォレストリーの畑では、アサイー、コーヒー、バナナ、胡椒、パッションフルーツ、カカオ、その他、アマゾン原産のトロピカルフルーツなどが一度に植えられる。

長澤誠社長 フルッタフルッタ

「畑というと、みかん畑でもお茶の畑でもいいんですが、一つの作物だけが広い場所で栽培されている姿~単一栽培の畑を想像されると思うのですが、アグロフォレストリーの畑には、多様な作物が一度に植えられます。写真(長澤氏が手にしているパネル、一番左)をみていただけるとわかるのですが、畑と言うより、森にしか見えないと思います。でも、畑を始める一番最初は、何もない場所なんです(パネル、一番右)。この写真は支柱が建てられて最初に胡椒の栽培がはじめられたばかりの1年目ですが、ここに様々な作物を植えて行って、収穫をしながら5年、20年と時間が経っていくと畑が育って森になっていきます」

アグロフォレストリーの利点は、農業という経済活動である点だ。

ひとつの畑で収穫時期の異なるさまざまな作物が栽培されるこの農法は、1年を通して常に何かしらの作物が収穫できる。また、畑を作って1年目から収穫できる作物があるため、少ない初期投資で参入して、利益を得ることも可能となることから、貧困層の人々の生活を支えるBOPビジネスのスタイルとしても注目を集めている。

ベージャフロール アマゾン大冒険

森林伐採が行われて裸になってしまった土地をアグロフォレストリーの畑を作れば森を再生していくことも可能かもしれない。また産業として広がれば雇用も創出して、貧困が原因で起こる森林伐採に歯止めをかけることも、できるかもしれない。そしてこの畑で作られた食糧は、北半球の先進国の人々の胃袋を満た氏ながら、森を守る働きをしてくれる。

「現在、アサイーだけでなく、このアグロフォレストリーの畑で採れたアマゾンのさまざまな種類の果物も、どんどん日本で紹介していく予定です。南半球のアマゾンで作られた果物を北半球の我々が消費をすることで、アマゾンに利益が還元されて森がつくられていく。そういう循環を、アグロフォレストリーは作ってくれれると信じています」

(文/麻生雅人、写真/(C) 2013 BILOBA Films – GULLANE – GEDEON Programmes – France 2 Cinema – GLOBO Filmes – IMOVISION – LE PACTE、写真上から2番目/写真提供フルッタフルッタ)
映画「アマゾン大冒険 ~世界最大のジャングルを探検しよう!~」(配給/クロックワークス)は1月17日(土)より角川シネマ新宿、全国イオンシネマ(一部劇場除く)ほかにて全国ロードショー

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