パラー州。日系移民の街トメアスーで、アグロフォレストリー(森林農法)を見学。

2015年 02月 4日

トメアスー カカオの木

写真上はカカオの木。下は、やはりアグロフォレストリーで栽培されているアンジローバの木の実。アンジローバの木の実からとれる油は、先住民族も虫除けなど薬用に使っていたとか。現在も薬用や、化粧品の原料などに利用されているそうです。

アンジローバ

アグロフォレストリーは作付面積辺りの収穫高が安定・向上するのみならず、収穫後の作物の枝葉が落ちて、そのまま隣の作物の肥料になるため、焼畑農業などに比べ土壌の損傷がなく、アマゾン原始林の循環を模した環境配慮型の農業と評されているのです。

少し真面目な感想になりますが、農業分野での日本人の貢献が生んだ新しい技術に感銘を受けると共に、アグロフォレストリーのように環境保護と経済発展を両立する解決策のひとつにも触れることができ、大変貴重な訪問となりました。

トメアスー 移民資料館

また、「緑の地獄」と呼ばれたアマゾン地帯を開拓した日系移民の皆様の様々なご苦労を、二世の方々から伺い、胸を打たれる想いがしました。写真上は移民資料館にあった甲冑です。

今ではブラジル人と共に暮らし、日本語学校も作りながら現地に溶け込んでいる様子は、「現地化」「グローバル人材」という観点でも示唆に富んでいて、自分の中で深く考え続けていきたいと触発された次第です。

実は最初の国内旅行がトメアスーだったのですが、ブラジル全州を旅してみても、何度でも訪れたいと、最も心動かされたのがパラー州です。

2011年9月の訪問時に、快くご対応いただきました、Associação Cultural e Fomento Agrícora de Tomé-Açu(トメアスー文化農業振興協会)、及びCooperativa Agrícola Mista de Tomé-Açu(トメアスー総合農業共同組合)の皆様に改めまして厚く御礼申し上げます。

(写真・文/加藤塁)

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著者紹介

加藤塁 Rui Kato

加藤塁 Rui Kato
仕事の都合で2011年~2013年までの二年間、ペルナンブッコ州およびサンパウロ州で過ごす。他の南米諸国に目もくれず、ひたすらブラジル各州の国内旅行に明け暮れ、2年間で26州+1連邦直轄区全てを旅する。

気候・人種・歴史・産業・方言・食文化等が少しずつ違いつつも同じ根を持つブラジルの魅力の虜として、次回駐在時にもより奥地への旅を目論む。
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