水不足のブラジルで、節水のためのアイディアや技術革新、続々と

2015年 02月 16日

節水システム

TVグローボが2月10日、番組「ジョルナウ・ナシオナウ」で伝えたところによると、2014年の渇水以降、個人や企業から節水の試みが幅広く生まれてきているという。

現在ブラジル全土で節水が広く呼びかけられているが、家庭で手軽に設置できる節水装置が注目を浴びている。社会起業家エヂソン・ウルバーノさんは、自身が考案したアイデアを使ってみたいという人々に無償で提供している。

この節水装置は雨水を家庭でも簡単にためて使える仕組みで、エヂソンさんの自宅でも屋根に降った雨水を自宅の植物の水やりや床掃除に使っている。シャワーの水やトイレの水も雨水タンクからのものだ。

「4人家族で6000リットル水を使う。僕らはその水を雨水に切り替えることでカンタレイラ水源の水を節約できるんだ」(エヂソンさん)

装置は取り付けも簡単でフィルターもついているが、今のように受け入れてもらえるのに何年もかかった。

「水不足という苦難が人々を変えつつあるんだ」(エヂソンさん)

また別の家庭では家のリフォームを機に、3000リットルの雨水をためるタンクを備え付けている。屋根に雨が落ちると中庭の下に備えたタンクに自動的に水がたまる仕組みだ。

「あるだけで安心感が違う。自分たちの分だけでもまかなうとか、各々ができることをやるんだ」(アンドレ・フィドラーさん)

夏の雨季に嵐が来ると洪水が発生するが、その際にも家庭用貯水タンクは洪水の緩和と給水に役立つ。環境社会学研究所所長のマルーシア・ワッテリーさんは言う。

「床に水があふれているのに、蛇口からは水が出ないのよ」(マルーシア・ワッテリー環境社会学研究所所長)

節水に取り組むのは個人だけではない。水不足の危機と水の無駄に対する社会の厳しい視線により、確実に新たな風潮が生まれつつあるようだ。

環境保護活動家や研究者はスーパーマーケットやショッピングセンター、サッカー場など大規模施設で貯水タンクを持つよう提言している。洪水の時にだけ使われるプール、貯水場ももっと活用できるという。

「それらを活用すれば相当量の水、しかもタダで手に入る水を集めることができる」と言うのはサンパウロ州立大学のイヴァニウド・エスパニョウさんだ。

とあるショッピングセンターでは雨水をためる設備を作り、その水をリサイクルして敷地内の水の需要をまかなっている。リサイクルされた青色の水はトイレを流す際や床の掃除、エアコンに使われる。

「自分たちで賄っている水は約5500立方メートルで、これだけの水があればゆうに1日27500人が生活できるのです。私たちは経済的な利益よりも社会的な意義のほうが大きいと考えます」(ショッピングセンター運営責任者・ルイス・ヂ・モラエスさん)

(文/余田庸子、写真/Reprodução/Jornal Nacional/TV Globo)
写真は節水装置を考案したエヂソン・ウルバノさん、「ジョルナウ・ナシオナウ」より。TVグローボのニュース番組「ジョルナウ・ナシオナウ」はIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴のお問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで)