資金洗浄の温床!? スイスHSBC銀行に有名人の口座。アントニオ・カルロス・ジョビンからジョルジ・アマードの名まで

2015年 03月 24日

ジョルジアマードの家

連日、ブラジルの新聞紙上を賑わせている連邦警察のラヴァ・ジャット作戦だが、この捜査によって現在注目を浴びているのがスイスにあるHSBC銀行の支店だ。それは、同事件の容疑者たちが、同銀行の支店を介してマネー・ロンダリングを行っていたためだ。

スイスの銀行には「マネー・ロンダリングのための不正口座が作られやすい」というイメージがあり、それは過去の事件でも多く報道されている。

HSBC銀行スイス支店に口座を持っているブラジル人は故人を含め8667人おり、その中にはかなりの有名人も含まれている。

例えば、ボサノバ(の有名曲をはじめ数々の名曲を生んだ20世紀を代表する)大作曲家の(ひとり、)アントニオ・カルロス・ジョビン(94年没)や、ブラジル文学を代表する作家のジョルジュ・アマード(2001年没)などもその一人だ。ジョビンは夫人のアナ・ロントラさんと共同名義の口座を持ち、同夫人はさらに二つの別口座も持っていた。

また、アマードの場合は死の半年前に夫人のゼーリアさんと息子のジョージさん、娘のパローマさんの4人が一斉に口座を開いた。ゼーリアさんは2008年に亡くなったが、アマード氏の口座は2006~07年の時点で残高がゼロになっている。

また、現在も健在の有名人では女優のマリリア・ペラ、マイテ・プロエンサ、クラウジア・ライアといった人気女優の名前がずらりと並んでいる。彼女たちの口座には2006~07年に、マリリアが83万4千米ドル、マイテが58万5200米ドル、そしてクラウジアが2010年に破局した元夫で俳優のエジソン・セルラーリとの共通名義で13万5700米ドルの残高があったと言われている。

また、グローボ局の深夜の名物トーク番組「プログラマ・ド・ジョー」のジョー・ソアレス(ソアーリス)も四つの口座を持っていたが、2006~07年の残高はどれもゼロになっている。

ただ口座を持っているというだけで疑われては有名人もたまったものではないが、一般人の感覚からすれば「なぜ、わざわざスイスに口座を」という疑問が湧くのは決して不自然なことではなく、気になるところではある(23日付グローボ紙サイト、テーハ紙サイトより)。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Valter Pontes/Agecom/Salvador)
写真はサルヴァドールにある「ジョルジ・アマードの家」。映像の中央がジョルジ・アマード。アマードはパリ、アントニオ・カルロス・ジョビンはアメリカ合衆国など、海外生活をしていた時期もあるので、国際的な銀行口座の需要があったのかもしれない