ブラジル全国で、未成年へのお酒の無償提供・販売が禁止に。違反には厳罰、広告も規制対象に

2015年 03月 28日

ドイジーニャ

TVグローボが3月19日、番組「ジョルナウ・オージ」で伝えたところによると、未成年に酒類を無償提供または販売したら2-4年の禁固刑、罰金は3千-1万レアル(約12万-40万円)という法律がブラジル全土で施行されたという。

医師のパウロ・ヂ・アブレウ・レーミさんは26年間お酒を飲み続けていたという。

「朝起きて飲み、職場に行って少し仕事をし、ランチタイムにまた飲み、午後の仕事が終わったら床に就くまで飲んでました。今思うと一日中飲みっぱなしでした」(パウロさん)

パウロさんは禁酒にあたって周囲に助けを求め、禁酒プログラムを受け、お酒をやめることができた。ただ、今度は息子がアルコール依存症に陥っているのを見ることとなった。息子である弁護士のパウロ・ヂ・アブレウ・レーミ・フィーリョさんは16歳で飲酒を始めた。

「パーティ、学校、そして友人たちと毎日、ずーっと記憶がなくなるまで飲んでいました」(パウロ・ヂ・アブレウ・レーミ・フィーリョさん)

サンパウロ連邦大学が1157人の10代の若者を調査したところ、約半数の47%がお酒を飲んでいると答え、飲み始めたのは15歳になる前、との結果が示された。ブラジルでは1996年から2002年までの間に、アルコールの摂取が原因で224人の未成年が死亡している。

これからは未成年への酒類の無償提供・販売は犯罪となる。違反した場合は罰金3千-1万レアル(12万-40万円)と2年から4年の禁固刑が下される。広告も規制の対象となる。

サンパウロ大学の酒類・薬物研究グループのあるコーディネイターが法律を成立させた。親や学校が若者にアルコールを近づけないための措置を取れない場合などにこの法律が功を奏するのだとコーディネイターは言う。

「法令化にはちゃんとした根拠がある。10代の若者の脳はまだ発達途上で、毎日新たな細胞が分裂しながら増えているところです。この細胞が分裂していく途上で細胞がアルコール漬けになるのはよくない、などということは医学の専門家でなくてもわかることです」(コーディネイター、アルトゥール・ゲーハ・ヂ・アンドラーヂさん)

先述のアルコール依存症だった父子は自分たちの経験を本にしたためた。彼らが言うにはアルコール中毒が治癒・全快することはないという。

「自分がもしやり直せるとしても、同じことをすると思います。生きている間は常に依存症で居続けるでしょう。今と昔の違いは、アルコールを飲んでいるか否か、という点だけです」(パウロ・ヂ・アブレウ・レーミ・フィーリョさん)

サンパウロ州では2011年からすでに未成年への酒類の無償提供・販売は規制されていたが、今年1月から2万レアル(約80万円)以上の罰金が科せられる条例が施行されているとのこと。

(文/余田庸子、写真/elbragon)