サントスの燃料ターミナル火災、7日目に。火の勢いぶり返す。タンクからの燃料漏れが原因か

2015年 04月 8日

サントス火災

4月2日(木)に起こったサンパウロ州サントス市沿岸部アレモア地区にあるウートラカーゴ社の液体燃料貯蔵タンクターミナルの火災は、7日目に入った8日(水)の夜、未だ消火は達成できていない。

それどころか、タンクのひとつで火の勢いが増しているという。現地メディア「ア・トリブーナ」(8日)づけ電子版が伝えている。

7日(火)の時点で燃えているタンクは2台になっていたが、タンクから燃料が漏れていることもあり、消火活動に支障をきたしている様子を8日未明、「G1」(8日づけ)が伝えていた。

6日に連邦政府は、コールド・ファイアと呼ばれる消火用の科学薬剤を消火のために提供。ブラジル空軍(FAB)の航空機が、ブラジル空港インフラ公社(Infraero)から割り当てられた薬剤を現地に運んだ。薬剤は車両搭載用消火器に使われているものと同様の泡状のものだが、消防飛行機や空港でよく使われているものだという。

泡の薬剤はサントスに到着しているが、8日(水)未明にはまだ使用されていなかった。

「4000リットル相当の薬剤を受け取っています。作戦を始めるには十分の量です。”コールドファイア”はゼラチン状の泡で火を消します。燃料が漏れていないとき、直接炎に浴びせることで効果を発揮すると考えています。しかし、今は漏れている燃料が火災の勢いを助けています。優先すべきは、漏れを防ぐ技術的な方法をみつけることです」(マルシオ・アウレリオ・アウヴィス・ピント消防隊指揮官)

この薬剤は同日使用されたが、夜通し続けられた消火活動の中、炎は勢いを盛り返していると「ア・トリブーナ」が伝えている。

サンパウロ州民間防衛局によると、タンクの燃料漏れが炎に勢いをつけているという。8日の12時ごろ消防隊はコールドファイアを使用、一時は火を制御できたかに見えたが、15時ごろ、タンクの火は再び燃え始めたという。

サントス火災

すでに火災が起きてから150時間以上が経過している。周辺の環境への影響も懸念されている。

火災発生から5日目の6日(月)づけ「エポカ・ネゴシオ」誌(電子版)は、汚染された消火用水がサントス港の河口あたりで汚染を引き起こし、何千匹もの魚が死んでいるのが発見されたと報道。

汚染の実態は、ウートラカーゴ社が4日(日)の夜に環境衛生技術公社(Cetesb)に届け出た報告に記されていたという。

「炎を消すために使われた水はウートラカーガ社の施設から流出して河口の湾にたまり、温度や酸素飽和度などに変化を引き起こして水を汚染、それが魚の死の原因となっていると考えられます」と、環境衛生技術公社(Cetesb)環境局のセーザル・エドゥアルド・パドゥヴァン・ヴァレンチ事務局長は語った。

漁業庁は消費者に汚染された魚が流通しないように、この数日間、同地域の商店などを検査しているという。

「魚の販売を管理、およびモニタリングする対策を講じています。環境への影響がどの程度なものかはっきりとしていないので、人々に案内をすることがこのプロジェクトの目的です」と環境アナリストのアナ・アンジェリカ・アラバルシさんは語った。

また報告書では、火災現場付近の大気汚染への懸念も示されていたというが、セーザル・ヴァレンチ事務局長が現時点ではすべて平常時の状態だという。

「私たちは大気の状態のモニタリングを続けていますが人々にリスクをもたらす問題は浮上していません。強い雨も汚染を薄めることを助けます。弱い霧雨は助けません。また、私たちは大気の観測地点も、ポンタ・ダ・プライアから植物園へ移動させています」(セーザル・ヴァレンチ事務局長)

もう1点、アレモア高架橋にも、有毒ガスを判別できる新しい設備があるという。

「我々は、火災が生み出す様々なタイプの有毒ガスを調べています。事故の起きているエリアで検出されているのはガソリン、エタノール、ディーゼルオイルです」(陸軍グアルダ第一旅団ジョアン・シャレーラ指揮官)

(文/麻生雅人、写真/Corpo de Bombeiros da PMESP)
写真は4月8日、サンパウロ州サントス。未だ燃え続ける燃料タンク