ブラジル人の1500万人が他人の債務で金融機関のブラックリスト入り

2015年 04月 12日

カード詐欺

TVグローボが4月10日付で番組「ボンジーア・ブラジル」で伝えたところによると、ブラジル人の1500万人が、他人が作った債務のせいでブラックリストに載っているという。

職場の同僚が友人にクレジットカードを貸したらその相手が債務を払わずに行方をくらました…ブラジルではこの手の話、は家庭内や友人同士、職場などでよく聞く話なのだそうだ。過剰与信防止機構(SPC)の調査によると1500万人のブラジル人が同様の被害に遭っているという。

債務は自分の名前を貸すことに同意した瞬間に、名前を貸した人に返済の責任が生じる。ただ、被害に遭った60%の人が買い物に自分の名前が使われていることすら知らないという。にも関わらず、買い物の額は平均で4000レアル(約15万円)と高額だ。

契約上の返済日に請求額が払われないとクレジットカード会社等から法的な措置を講じられることになる。

「裁判所と債権者から見ると債務者とは債務の名義人、名義人は契約の際に返済に同意した人ということになります」(弁護士、パトリシア・カルドーゾさん)

名前を騙られる被害にあった人が被害状況から脱するのには時間がかかる。被害者の53%は3年以上ブラックリストに載ったままだ。被害者のほとんどはカードを貸した相手の連絡先が分からなくなっている。

「職場の同僚だったからカードを貸してしまったのだけれど、彼女はテレビ、エアコン、テーブルを買って10回払いの最初の1回だけを払っていなくなった。彼女の兄弟に聞いたら買ったものを全部持ってセアラー州に行ったそうです」(美容師、アナ・カタリーナ・リマさん)

被害を最小限に止めるためには、まずは自身で支払いを行ってから、カードを使った人に請求するのが賢明だと、弁護士のパトリシア・カルドーゾさんはいう。

「債務が約定通り払われなければ利子がかさんでいく。その利子も債務の名義人に請求される。そのため、まずは債務を払い利息を止めて被害額を最小限に抑え、そのあと本人に求償するなどの手段を考えるべきです」(弁護士、パトリシア・カルドーゾさん)

とはいえすぐに払える金額でない場合も多く、被害者の多くは付き合いの浅くない人から裏切られブラックリスト入りしている。ブラジルの闇の深さを考えさせられる事象だ。

(文/余田庸子、写真/Marcos Santos/USP Imagens)