ブラジルで無加糖・無着色のアイスキャンディーがお目見え。ワッツアップを使ってデリバリー販売も

2015年 04月 14日

picole

BRICSの一員として経済成長を始めて以降、ブラジルでも「プレミアム感」をウリにした商品を提供するレストランや店舗が多くみられるようになっている。

そのプレミアム商品の一つに「健康志向食品」がある。スーパーでは「低カロリー」「低糖」「ダイエット」をうたった商品が数多く並んでいる。

そんな健康志向がついにピコレー(アイスキャンディー)にも到達した、というニュースをグローボ社が発信している。中小零細企業のニュースを伝えるグローボ社の「ペケーナス・エンプレーザス&グランジス・ネゴシオス」誌電子版(3月9日づけ)が報じたところによると、サンパウロ市のソルベッチ・ネイキッド社(以下「ネイキッド社」)が天然素材のみを用いたピコレーの製造販売を始めたという。

ネイキッド社はサンパウロの多国籍企業の同僚だった2人の若い起業家によって設立された。グラフィックデザイナーだったハファエウ・シポーラさん(27歳)と広報担当だったチアーゴ・ゴドイさん(32歳)だ。

天然素材のピコレー、という着想を得たのは、起業家の二人が数人の友人たちと海沿いの街を旅していた時だった。みんなでビーチに行くときは軽食を自分たちで作って出かけていたが、その中にカットフルーツも含まれていた。

ある日、面白半分でいくつかのカットフルーツをココナッツウォーターに入れてコンデンスミルクの紙箱に入れて凍らせてみた。

「出来上がってきたもののビジュアルの美しさに僕らは驚きました。その日からいろいろ試してみて製造のノウハウを高めました」(チアーゴ・ゴドイさん)

試行錯誤の結果、無糖・無着色のピコレー「ソルベッチ・ネイキッド」が生まれた。2014年の終わりごろ、二人の起業家は自分たちの商品の見た目に対する人々の反応を知るべく、自社サイトとソーシャルネットワークに製品情報を掲載し始めた。

「当時はまだサンプル商品が数点あっただけで本当に需要があるのかどうか半信半疑でした。でも僕らの想定を超えて、すぐに注文が入り始めました」(チアーゴ・ゴドイさん)

この事業に対する初期投資額は10万レアル(約380万円)。工房の賃借契約、製造用機械の調達を経て2015年1月に事業を開始した。

ネイキッド社の特徴は二つ。旬の果物を使う点と注文販売方式を取っている点だ。旬の果物を使うことについてはハファエウ・シポーラさんは言う。

「僕らの製品は砂糖や保存料を使っていないので、その果物が素の状態で一番おいしい時に商品にするのです」

注文販売形式を取る理由についてチアーゴ・ゴドイさんは言う。

「僕らは直販という選択肢を取っています。仲買人を通すと既存の非常に複雑な流通網に頼らなくてはいけなくなります。商品市場での自社製品の位置づけについては僕らはまだ調査中の段階で、既存の流通網を使うメリットがあるかよくわかっていません」

注文受付は電子メール、電話、自社ウェブサイト経由の3つの方法がある。受け付けた注文に対しては毎週金曜日に顧客向けに発送される。イベント等のための大量発注の場合はブランドロゴの入ったフリーザーやキャスター付き容器で運ばれてくる。

自社ウェブサイト経由の場合、自分の生活エリアなど特定の地区を登録することができる。地区登録をしておくと、その地区の近くにネイキッド社の販売員がいる時、ワッツアップの機能を使って通知を受け取れるよう設定ができる。通知を受けて注文をしてからだいたい一時間くらいで届けられるとのことだ。ただし、販売員の移動エリアは大サンパウロ圏内のため、圏内限定のサービスとなる。

「この方法を取ることによって、僕らは自分たちの商品需要のデータを直接持つことができます。お客様に直接届けることができる、画期的な方法だと思っています」(ハファエウ・シポーラさん)

今のところ、事業は順調なようで、二人の起業家は年内の黒字化を目指している。

「お客様の需要を読み間違えなければさほど難しいことではないと思っています」(ハファエウ・シポーラさん)

(文/余田庸子、写真/Reprodução/Instagram)