ブラジルの食糧パワー~最新大豆事情

2015年 07月 12日

大豆

通説によれば、ブラジルに米国経由で大豆を持ち込んだのは、バイーア農学校のグスタヴォ・ドゥトラ教授といわれ、1882年のことであった。

農事試験場における研究材料でしかなかった大豆が、日系移民による味噌醤油原料用の大豆栽培(サンパウロ州)という初期段階を経て、リオグランデドスル(リオグランジドスウ)州において1940年代から限定的な商業栽培が始まり、パラナ州では大豆の植付が開始されたのは1954 年であった。

生産量の推移をみると、1941年の植付面積640ha、生産量450トン、というレベルから、1960年20万トン、1969年105万トンへと伸長していったが、栽培地は南部に限定されていた。

1970年代になって、それまで不毛の大地と考えられていた中西部のセラード地帯における耕作地開発が急展開し、この農業フロンティア北上による栽培面積拡大と品種改良による単収増の相乗効果によって、ブラジルは世界有数の大豆産出国へと変貌し、1979年の生産量は1,500万トンを凌駕することとなった。更に21世紀に入り、バイーア州西北部からピアウイ州南部、マラニャン(マラニョン)州南部にかけてのセラード北部が新穀倉地帯となっている(次ページへつづく)。

(文/富倉昌弘、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Jonas Oliveira/ANPr)