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悪化するブラジル経済の中で一人笑う中国国営企業

ベロモンチダム

今年もあっという間に半年以上が過ぎ、ブラジルの有力各紙も2015年前半を振り返る記事が増えてきた。

7月18日付「エスタド・デ・サンパウロ」紙の経済・ビジネス面も、15年のブラジルを象徴するような暗い数字が多く並ぶことになったが、その中で一人、呵呵大笑(かかたいしょう)するアジア人の写真と記事があり、ブラジルの状況を象徴する内容だ。

まずは15年に入ってからの厳しいブラジルの現状を見てみよう。

最初は失業者数である。労働・雇用省の発表によると、6月単月で11.1万人、1月から6月までの半年間で34.5万人となり、02年以降で最大の失業者数である。さらにその数が増加傾向になっていることから、年間の失業者数は100万人と予測している。

特に工業分野での就業者数の落ち込みがひどく、15年5月は前年比で5.8%減った。これは、近年では最も悪かった09年2月よりもさらに悪く、国土地理院(またはブラジル地理統計院、IBGE)が2000年に統計を開始して以来、最悪の数字であった。

ブラジルの労働法では、インフレ率以上に毎年昇給することが法律で定められており、これまでは守られてきたが、今年はインフレ率の上昇ピッチが速過ぎて、昇給率よりもインフレ率が上回る事態となった。4月は0.6%、6月は1%とその差は開き、年に1回の給与改定では間に合わない有り様だ。

これまで物価がいくら高くても、それ以上に給与が上がっていたため高い消費傾向を示していたが、14年末から15年にかけて、ついに国内消費が対前年同期比でマイナスに転じた。その一因は失業率の増加、インフレ率の上昇にあることは明らかだろう。

GDP(国内総生産)成長率も年初の政府目標の達成は厳しくなりつつある。ブラジル中央銀行の発表によると、15年5月までの1年間で前年比1.72%減、直近12カ月よりもさらに15年の後半は落ち込むと考えられるため、15年通期では2.78%減と予測としている。

7月18日の「エスタド・デ・サンパウロ」紙の経済・ビジネス欄は、このように暗い記事ばかりであったが、その中に多くの人に囲まれて哄笑しながら勝利を祝うアジア人の写真が載っていた。

ブラジルのパラー州にあるベロ・モンチ水力発電所の送電線の入札を1年当たり9億8800万レアル(約395億円)で勝ち取った中国国営企業、国家電網公司の副社長であった。「中国から1万人の労働者を連れてくる」と豪語しているようだが、同社はすでにパラナ州でも送電プロジェクトを落札し、ブラジルの送電関連会社12社も買収しており、ブラジル第5位の送電会社になっているようだ。

ベロ・モンチ水力発電所プロジェクトの総予算は、420億レアル(約1兆6800億円)だが、そのうちの70億レアル(約2800億円)を送電線に投資する予定。国家電網公司の副社長は、これをきっかけに、今後ますますブラジル事業を拡大させたい意向とのことだ。

特にブラジル経済が厳しい今、資金力に勝る中国国営企業が一気呵成(かせい)に投資を行い、これまで欧米企業が中心だったブラジルのインフラ事業の勢力図を塗り替えつつある。

(文/輿石信男/クォンタム、記事提供/モーニングスター、写真/Regina Santos/Norte Energia (14/05/2013))
写真は2013年、工事が進められているパラー州ベロ・モンチの水力発電所

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