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ブラジルは本当に投資不適格!? S&P格下げも通貨安も、原因は政治!?

フィアット ブラジル

ついに9月9日、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がブラジルの外貨建て債務の格付けを「BBB-」から「BB+」と投資不適格に格下げした。

ジョアキン・レヴィ財務大臣が就任以来この9カ月間、テクノクラート(高級官僚)としてこれを避けるために奔走したのだが、格下げという由々しき事態に陥った。国際経済での立場よりも国内政治を重視した政治家たちが招いた結果である。

思い返せば、フェルナンド・エンリケ(エンヒッキ)・カルドーゾ元大統領がハイパーインフレを収めるためにデノミ(通貨単位の切り下げ)を中心としたレアルプランを財務大臣の時に企画し、自らが大統領となって実行に移して見事に成功させたのが、今から約20年前の1995年であった。

当時は国際経済での立場が最優先され、市場を外国企業に開放し、公社を次々と民営化して、外貨準備高を積み上げていった。

その政策が奏功し、S&Pの格付けが投資適格国に引き上げられたのが、今から7年前の2008年4月30日。大統領はカルドーゾから労働者党のルーラに代わっていた。ルーラは国際経済に見事に復帰し、資源での強みを発揮し始めたことを背景に年間100日以上も海外を飛び回り、ブラジルの地位向上に努めた。さらに、ブラジル最大のゼネコンであるオデブレヒト社を中心に護送船団方式で新興国のインフラ事業受託を後押しし、ブラジル企業の国際化にも尽力した。

だが、リオ五輪が決定した09年の余韻が冷めやらぬ中で10年に就任した現ジルマ(ジウマ)・ルセフ大統領は、翌11年から経済が停滞し始めたこともあり、インフレ抑制のためという名目で利上げに舵を切り、それ以来政策金利は3年近く上げ続けて、今や14%を超えている。しかしインフレはターゲットの6.5%をとっくに突破し、今年は年率10%に達する勢いだ。ブラジルの中間層以下の生活が厳しくなる一方、私腹を肥やした政治家や富裕層の資産は金利上昇により膨らんでいる。

為替も1ドル=2レアル弱まで上がっていたものが、今や4レアルを窺う展開となっており、すでに輸出産業がこの20年で骨抜きになっているブラジルでは輸入品が高騰し、消費者の生活がただ苦しくなるばかりだ。

今後、ムーディーズやフィッチも投資不適格に格下げすることが想定されるが、任期を約3年残してレームダック(役立たず)と化しつつある現政権に、落ち込んだ経済を立て直す能力はないだろう。

とはいうものの、この20年間でブラジルのGDPは3倍になり、国内消費も2倍以上に成長した。国民1人当たり所得も大幅に増え、確実に豊かになった。国際的にも投資適格国入り後は大量の資金が流入し、日本企業も一時は150社前後まで減った進出企業が、13年頃には、ハイパーインフレ前の400社まで戻した。

今のブラジルは昔と違い、メガバンクが利益を出し、金融システムが安定している。さらに、外貨準備高は十分あり、企業もある程度国際化し、公的機関はかなり民営化されている。

あとは政治の問題だけなのである。2億人を突破し、伸び率は下がっているとはいっても未だに増え続けている人口をみても、市場にはまだまだ成長の余地がある。政治のウミが出切って、緊縮財政をさらに進めれば、また投資の季節がやってくるのではないか。

レアルプラン、ルーラショック、アジア金融危機、リーマン・ショックなど、この20年間いくつかの危機後に一気に投資が膨らんで、そこでシェアを取った企業が成功している。16年以降は投資の季節になるかもしれない。

(文/輿石信男(クォンタム)、記事提供/モーニングスター、写真/Rafael Neddermeyer/FCA/Fotos Públicas)
イタリアと合衆国の自動車大手、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は今年(2015年)4月28日、ブラジルのペルナンブッコ州ゴイアナにジープの新工場を稼働させている

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