周辺の河川の汚染物質が許容量の13,000倍。ミナスジェライス州鉱山廃水貯蔵ダム決壊事故で

2015年 11月 15日

ミナスジェライス州鉱山廃水ダム決壊

「マンガンは化学物質の中でも最も重い部類に入ります。そのため体の奥に蓄積されていきやすいのです。具体的には筋肉や骨、小腸そして心臓などの疾患に現れてきます。アルミニウムは大多数の人には影響はありませんが、糖尿病や腫瘍のある人、腎臓疾患を持つ人には影響が出る可能性があります。酸性の強い器官はアルミニウムを吸収しやすくなります。鉄については特に有毒だとはみなされていません」(ウォン所長)

泥水に含まれる重金属が及ぼす影響をかんがみて、サマルコ社は決壊により放出された泥水の量をすぐに発表するべきだったとウォン氏はいう。事故から(11日の時点で)6日も経過しているにも関わらず、ヴァーリ社とサマルコ社は自社で採取した泥土サンプルから得られた調査結果を何も発表していない。

「48時間以内に発表するべきでした。救助隊や無事に救出された人たちが汚染泥土と接触する時間が長くなる可能性が高いからです。ヒ素、アンチモン、鉛は鉄と密接ですし、まれにニッケルも泥に含まれていることもあります」(ウォン所長)

ドーシ川流域の生態系を研究するビオアトランティカ研究所総合ディレクター、ヒカルド・ヴァロリー氏は重金属に関するリスクに対して懸念を表明している。

「汚染泥土の中で重金属が複合体を形成している疑いがあります。サマルコ社は否定していますが、公式な報告書を待たねばなりません」(ヴァロリー氏)

「R7」はサマルコ社に対し9日、10日にかけて自社で採取した泥土サンプルの調査結果とSAAEの調査結果に関する質問状をいくつも送っているが、サマルコ社からはまだ返答はないという。

決壊発生以後にサマルコ社が発表したウェブサイト上の情報および上層部へのインタビューはダムの管理委託元であるヴァーリ社とBHP社の検閲を受けたあとのものだが、それによればふれだした泥には人体に有害な物質は含まれておらず、不活性物質のみだという。

河川の汚染具合からミナス州ゴヴェルナドール・ヴァラダーレス市では3日間、水処理が停止されている。そのため今日からミナスジェライス州とエスピリトサント州の9都市で80万人分の水が不足する模様で、ゴヴェルナドール・ヴァラダーレス市長は大規模災害宣言を行った。

(文/余田庸子、写真/Fred Loureiro/Secom ES)
写真は11月12日(木)、エスピリッサント州のコラチーナ。泥水で汚染されたドーシ川

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