ブラジルを語る上で外すことのできない存在、サトウキビ

2015年 11月 28日

サトウキビジュース

ブラジル発展の大きな要素となった砂糖産業は、植民地時代の16~17世紀、この地の経済を支えていました。主要な生産地は北東部のバイーア州、ペルナンブーコ州でした。

今でもブラジルのサトウキビの生産量は世界一で、二位のインドの二倍以上の生産量を誇ります。

先日、ペトロリーナの農家を訪問した際に、サトウキビをご馳走になりました。

サトウキビの見た目は、竹に似ています。

農家のおばさんが、畑のサトウキビをナタで切り、周りの固い皮をワイルドにそぎ落として「はいっ」と渡してくれました。

サトウキビを食べたことがなかったので、良くわからなかったのですが、そのままかじりついて、ちゅーちゅーすると甘い汁が出てきました。かたいスポンジを吸っているようなかんじです。農家の子供は、おやつ代わりにサトウキビをかじっている感じでした。

サトウキビ絞り機

同じ農家の庭には、歯車のサトウキビ絞り器がありました。これをキコキコ回すと、サトウキビの中にある汁が絞り出されてきます。

このサトウキビの絞り汁は、ブラジルではカウド・ジ・カーナ・ジ・アスーカ(caldo de cana de açúcar)と呼ばれています。

ちょっと青臭いですが、コクがあって美味しかったです。サトウキビの絞り汁というので、水に白砂糖を溶かした砂糖水の味をイメージしていたのですが、全然違いました。鉄分、カルシウム、マグネシウム、ビタミンが豊富に含まれているからなんですね。

カウドジカーナジアスーカル

サトウキビの絞り汁は、パステウと呼ばれる揚げ餃子のような軽食と一緒に食べられることが多いようで、街中でも絞り汁を売るオジサンなどを見かけます。

ちなみに、黒砂糖は、このサトウキビの絞り汁を煮詰めて作られたものです。

一方で、白砂糖は、サトウキビの絞り汁から鉄分、カルシウム等を除去して糖分のみ抽出したもので、化学的な糖分なので、吸収率も早く、血糖値を上げやすいそうです。

いずれにしろ糖分なので食べすぎは良くないと思いますが、同じ砂糖を摂取するなら黒砂糖の方が健康にはよさそうですね。

(写真・文/唐木真吾)

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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