ブラジル人が一緒に働きたいと思う上司像とは?(3)

2015年 12月 2日

上司と部下

CRIの調査では語られていないため推測となるが、上司が話している時間が長いにも関わらず、それが会話への充足感および両者の関係性を損なわないとすれば、話し方や話している内容が聞く側に一方通行感を与えていない状況が考えられる。

例えば、部下にとって
1. 上司が話している内容に有意義な情報が入っている
2. 上司が話している内容がエンターテインメントとして楽しめる
3. 上司が自分のことを重視していることが感じられる(褒められている)
4. 上司が自分の悩みや弱さを打ち明けてくれていると感じられる(自分が信頼されていることが感じられる)
5. 上司が時々自分の同意・意見を求めながら話を進めていく
といった状況であれば、一方通行感は軽減され、会話の充足感は高まるのではないかと考えられる。

裏付けはないが、人との会話になれている人が多いブラジルでは、リーダーと言われる人たちが無自覚に自分の部下とこの5つを組み込んだトークを行っていることも考えられる。

周りにいる、よくしゃべる、頼みごとが上手なブラジル人を観察すると、この真偽を確かめるヒントを得ることができるかもしれない。

Part 1からPart 3まで、CRIの調査データをもとにブラジルで求められるリーダー像、リーダーの機能、特殊性などを追ってきた。すべてのケースが必ずしも調査結果が示す方向性と合致するとは限らないが、ブラジル人を部下として仕事をする機会を得たときの準備の一助になれば幸いである。

なお、本稿のもとになった調査『組織とリーダーに関するグローバル価値観調査』は、2015年12月上旬、CRIより冊子としてインターネット経由で無料配信される予定。15か国(地域)の調査データとあわせて、アメリカ・日本・中国・香港・タイの5か国については国別にまとめた形でリリースとなる。

(文/麻生雅人、写真/acworks、データ提供/CRI)