博物館火災、隣接する1901年建設の時計塔は無事

2015年 12月 23日

ポルトガル語博物館 火災 ルース駅

12月21日(月)に発生したポルトガル語博物館の火災は22日(火)には鎮火、サンパウロ州は施設の復興を発表したと現地メディア「G1」(22日づけ)などが伝えている。

消防隊の活躍により、隣接するルース駅にはほとんど火災の影響は及ばなかったという。1901年に駅の改築を行った際に、イギリスのビッグベンやウェストミンスター寺院を参考にして建てられた時計塔も無事で、現在も動き続けているという。建築を手掛けたのはイギリス人建築家のチャールズ・ヘンリー・ドライヴァー。

技術研究院(IPT)及びサンパウロ市保護局は22日(火)18時ごろの時点でまだルース駅の閉鎖がいつまで続くかは公表していないという。火災が起きたポルトガル語博物館はルース駅の建物の一部にあるため、建物自体の構造上のコンディションを精査するとのこと。

ポルトガル語博物館は3慨建てで、時計塔と同じく1901年にルース駅が改築された際に建てられた駅舎の一部を使って運営されていた。

3階は屋根裏スペースを利用した作りで、ポルトガル語の歴史をたどる3Dシアター、ポルトガル語の詩や有名な歌の歌詞など言葉に囲まれたスペースに朗読音声が流されるなど、ビジュアルや音でか言葉に親しむことができる展示を行っていた。

ポルトガル語博物館

2階では、ポルトガル語と関連する世界の出来事を、紀元前4000年代から現代までの年表や遺跡物などを使って、言葉を歴史と共に学べる展示が行われていた。年表には、広告や雑誌、書籍、ポスターなど多岐にわたる文化が紹介されていた。

このフロアではヨルバ語やトゥピ語などブラジルのポルトガル語に影響を与えた言語や、世界の言語に関する展示も行われていた。先住民族の愛用品から近世のグッズまで、貴重な品も展示されていた。また、映像パネルでは伝統芸能や食文化などに伝わるポルトガル語を、言葉で映像で紹介していた。

ポルトガル語博物館

1階は企画展示ルームで、ジョーク展など、ユニークな企画展示が行われていた。「ポルトガル語博物館」という名前を聞くと堅苦しそうなイメージが頭をよぎりそうだが、楽しみながらポルトガル語に触れられる言葉のエンターテインメント施設といった趣だった。

サンパウロ州のジェラウド・アウキミン州知事は施設の再構築を発表している。州政府文化局のマルセロ・アラウージョ氏によると、同博物館に展示されていた多くのものはデジタルデータが保存されているとのこと。

(文/麻生雅人、写真上/ Gilberto Marques/A2IMG、写真中、下/麻生雅人)