リオ2016オリパラ、スタジアムスタッフを7割、ボランティア人員も2割削減

2016年 01月 27日

リオ五輪 カヌー会場

先行きのみえないブラジル経済は、地方財政も前途多難だ。地方自治体で破たん寸前の州がいくつかある。

代表的なのは、オリンピック・パラリンピック開催のリオ州である。15年末に医療の非常事態宣言をしたのはまだ記憶に新しいが、同時にオリンピック会場ともなっているマラカナン・スタジアムのスタッフを7割解雇した。

また、現地大手メディア・グローボの電子版「G1」サイトの19日づけによると、予算難のためカヌーなどの会場となるラゴアの浮動観客席の建設が中止となり、ボランティア数も7万人を予定していたところを5万人に減らすことになったという。

パラナ州も教員への給与未払いなどで15年もデモが相次ぎ、ミナス州やブラジリアでは公共工事が90%以上中断に追い込まれている。

さらに、社会不安をあおる大きな要素となるのが、失業率の増加だろう。21日の労務社会福祉省の15年の正規雇用の統計の発表によると、過去24年間で最悪となる、年間150万人の雇用喪失となった。

雇用総数の減少も1999年以来16年ぶりの水準にまで悪化した。

部門別でみると、工業部門が60万8900人、次いで建設部門の41万7000人、サービス業、商業がそれぞれ27万61000人、21万8700人と大きく減少した。

そうした中で唯一雇用を増やしたのが農牧畜業で、9800人分の雇用が増え、農地拡大や農作物の増収に寄与した。

ミゲロ・ロセット労務大臣は、15年の雇用喪失数は13年、14年の創出数とほぼ同数なので、12年水準に戻っただけ。16年はより良い結果が期待できるとしている。しかし、IMFの数字が現実になれば、15年と同等の雇用減もあり得る話だ。

ブラジルは、過去10年、20年でみて、明らかに最悪の経済状況となってきているが、今年底を打つのか、さらに未知の領域へと沈んでいくのか不透明なままだ。政治が大きく絡むだけに、判断が難しくなってきている。

(文/輿石信男(クォンタム)、記事提供/モーニングスター、写真/Salvador Scofano/GERJ)
写真は2015年8月5日、リオデジャネイロ市。カヌー競技予定地のラゴアでテストイベントが開催された