ブラジル人のスキンシップ事情

2016年 04月 2日

フォホー

後でわかったことは、マリオはその女性達の恋人でもなんでもなく、単に友達同士だということでした。肩に腕をまわしたり、手をすりすりするのは「親密さ」を表現するための彼なりの表現だったようです。

ブラジルの北東部には、フォホーと呼ばれるフォークダンスがあります。北東部の人々はフェスタの時に、セルタネージャと呼ばれるフォークソングに合わせて、フォホーを踊ります。ぼくも、フォホーの踊り方を教えてもらったのですが、次のように踊ります。

まず、男性が女性の股の間に片足を入れて、足を交差させます。そして、男性は右手で女性の腰を持ち、左手は女性の右手を持ちます。後はこれでステップを踏むだけです。日本人としては、恋人以外とするのは考えられないほどの密着間があります。

ぼくの勤務している会社でも忘年会などでフォホーを踊ることがありますが、ブラジル人の従業員は、恋人とか関係なく、同僚同士でフォホーを踊ります。あんなに密着したら、忘年会の後に恋が生まれてしまうのではないかと思うのですが、実際にはフォホーを踊るのとお付き合いをするのは別物のようです。

また、ブラジルでは、男性が女性と出会った時には、抱擁して、頬にキスします。

キスといっても、通常は頬を合わせて、「チュッ」という音を出すだけなので、本当にキスすることは無いですが、とにかく日本人では恋人でもなければやらない親密な行動をします。

ブラジルに来て間もない頃、ブラジル人男性の友人のふるさとに遊びに行ったことがあります。彼が友人の家に遊びに行こうと誘ってくれたので、一緒に行ってみると、その友人というのは20歳代の若くて可愛らしい女の子でした。

初対面だったのですが、友人が紹介してくれた時に、彼女は両手を広げてきたので、ぼくもそれに応えて彼女と抱擁することになりました(次ページへつづく)。

(文/唐木真吾、写真/Natalia Bezerra/flickr)

著者紹介

唐木真吾 Shingo Karaki

唐木真吾 Shingo Karaki
1982年長野県生まれ。東京在住。2005年に早稲田大学商学部を卒業後、監査法人に就職。2012年に食品会社に転職し、ブラジルに5年8カ月間駐在。2018年2月に日本へ帰国。ブログ「ブラジル余話(http://tabatashingo.com/top/)」では、日本人の少ないブラジル北東部のさらに内陸部(ペルナンブーコ州ペトロリーナ)から見たブラジルを紹介している。
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