オリンピック・パラリンピック開催地リオデジャネイロ案内2サンタテレーザ地区ブラジル・”リテラトゥーラ・ジ・コルデウ”・アカデミー

2016年 06月 5日

ジョタ・ボルジェス 版画博物館 コルデウ

ブラジルでは、印刷技術が持ちこまれたのが遅かったことや、農村地帯では識字率が低かったことから、文字が読める人が簡単な物語を読み聞かせができるコルデウは、娯楽として定着して、北東部では1950年代末ごろまで伝え続けられたという。

また、コルデウの大きな特徴のひとつは、表紙に版画のビジュアルが掲載されている点。この表紙の版画は、中身の詩と同じくらい重要で、小冊子の内容がひとめでわかる図版であるだけでなく、ひとつの民衆芸術としての地位を確立している。コルデウの作家には、版画も詩も制作する作家もいれば、版画のみ、詩のみを作る作家もいる。後者は分業体制でコルデウを制作する。

英国ではペニー・ヒストリー、またはチャップブック、フランスではビブリオテーク・ブルと呼ばれたこうした小冊子は、ポルトガルではリテラトゥーラ・ジ・コルデウ(紐の文学)と呼ばれており、ブラジルへはポルトガルを通じて伝わったため、ブラジルでもリテラトゥーラ・ジ・コルデウ(紐の文学、以下、コルデウ)と呼ばれるようになったと考えられている。

ポルトガルでこの呼び名がつけられた経緯には諸説がある。主にフェイラ(市)で売られ、店先に、洗濯物を干すときのように張った紐にひっかけて売っていた、という説や、吟遊詩人が自分の体にたすき掛けにした紐にひっかけて売り歩いていたことが名前の由来だという説もある。後者を説くのが、自らもコルデウ作家である、コルデウ文学アカデミーのゴンサロ・フェヘイラ・ダ・シウヴァ所長だ(次ページへつづく)。

(写真・文/麻生雅人)
写真はペルナンブッコ州ベゼーホス、ジョタ・ボルジェスの版画博物館内