リオ五輪 男子サッカー、ブラジル決勝進出

2016年 08月 18日

ネイマール リオ五輪

8月17日(水)午後1時(日本時間18日(木)午前1時)にリオデジャネイロのマラカナン・スタジアムで、リオデジャネイロ・オリンピック男子サッカー、ブラジル対ホンジュラスの準決勝が行われた。

サッカーの聖地マラカナン・スタジアムは準決勝から会場として使われることになっているが、ブラジルは何とか無事にこの舞台まで進んでくることができた。

ブラジルの先発メンバーは、前試合、前々試合と同じ。これが今のベストメンバーと考えてよいだろう。

試合は、開始早々から動いた。

開始直後のワンプレー、相手のキックオフからのボール回しを、ゴール前でネイマールが奪い取り、そのまま相手GKと交錯し倒れ込むようにして放ったボールは、無人のゴールマウスの中にきれいに入っていった。

開始15秒でブラジルにゴールが決まったのだ。

このゴールは、ブラジルにとって、かなり楽になったはずだ。いくら格下相手でも、地元開催で大きなプレッシャーがかかるこの試合、先制点を早くに取れたことで、ブラジルは余裕を持って試合を進めることができるようになった。

ゴールを決めたネイマールは、このゴールでの接触プレーで一旦ピッチを離れた。少し心配したが、無事に戻ってきてくれた。

その後も、圧倒的にブラジルが攻め、試合を進めた。

相手ホンジュラスのブラジル選手へのプレッシャーはすごかった。

特に、この日少し引き気味にポジションを取っていたネイマールは、かなり激しくチャージを受けていた。ネイマールは、そのポジショニングにより、中盤から自分で仕掛ける場面がいつも以上に多く見られ、それがいい攻撃を生み出していた。

そんな中、ガブリエウ・ジェズスが、前半に2点ゴールを決め、前半を3-0で折り返した。

前半26分、ガビゴウことガブリエウ・バルボーザからのパスを受けたルアンの縦パスを、ワンタッチでうまく合わせ2点目を、そしてその9分後に、中央のネイマールからの鋭い縦パスを受け、GKと1対1になり、落ち着いて、そして鮮やかにゴールマウスに突き刺し3点目を決めたのだった。

グループリーグでは、チャンスをことごとく外していたガブリエウ・ジェズスだったが、グループリーグ3戦目で初ゴールを決め、だいぶ落ち着いてプレーできるようになっていた。そして、この日は2ゴールを決める活躍だった。

後半開始から、ホンジュラスが2人選手を交代し、前半とは違いホンジュラスも多少攻撃ができるようになったが、ブラジルも攻撃のリズムを崩さなかった。

後半6分には、ネイマールのCKから、CBマルキーニョスが足でコントロールしてシュートを放ち、4点目を決めた。

このような試合の流れから、ブラジルは余裕ができ、随所に個人技を魅せてくれていた。グループリーグ3戦目のデンマーク戦ほどではないにしろ、フッチボウ・アルチが垣間見られた。

ネイマールも数々の個人技を魅せてくれたが、彼以外にも、ルアンがヒールパスを、そしてガビゴウはヘッドでシャぺウのような技を魅せてくれた。

そして、後半23分に、フェリペ・アンデルソンが、この日2ゴールと活躍したガブリエウ・ジェズスに代わり、途中出場を果たした。

オリンピック直前の日本との親善試合で活躍したフェリペ・アンデルソンだったが、グループリーグ3戦目で大活躍したルアンにポジションを奪われていた。

そんなフェリペ・アンデルソンとルアンが初めて共存することになった。どんなポジションになるのか注目したが、ガビゴウがガブリエウ・ジェズスの位置(左FW)に移り、フェリペ・アンデルソンは3トップの右に入った。

5点目は、そんなフェリペ・アンデルソンがゴールに絡んだ。

後半34分、ドリブルで持ち込んだ中央のガビゴウから右サイドのフェリペ・アンデルソンにボールが渡り、フェリペ・アンデルソンのクロスをルアンが軽く合わせてゴールを決めたのだ。

ゴールを決めたルアンとアシストのフェリペ・アンデルソン、そしてネイマールが抱き合って喜んでいたのは印象的だった。

フェリペ・アンデルソンにとって、この日久々に出場することができ、期するところがあったと思う。全体的な動きも悪くなく、ゴールこそ奪えなかったが、アシストという結果を残すことができた。これはよかったと思った。

このゴールの後、ガビゴウとポジションを入れ替え、左サイドにポジションを取るようになった。

そして、試合終了間際の後半ロスタイム、ペナルティーエリア内でルアンが倒されて得たPKを、ネイマールがGKの動きを見て落ち着いて決め、6-0でブラジルは完勝した。ついに決勝への進出を決めたのだった。

本気で金メダルを狙っているブラジルだが、最初の2戦でまったくゴールを奪えず、どうなることかと思ったが、3戦目をきっかけに、よい動きができるようになってきた。

あまり話題になっていないが、3戦目に中盤をワンボランチからWボランチにしてから、うまくリズムがつくれるようになっていると思う。ヘナト・アウグストとワラシのコンビだが、特にヘナト・アウグストがボランチの位置でしっかり抑えているのがとても効いているように感じる。本来、前線の選手なので、もっと前に行きたいところだろうが、しっかりとボランチに徹してくれている。前線にこれだけのタレントがいるブラジルにとって、これはとても大きいと思う。

また、OA枠の年長者として、キャプテンのネイマールを、そしてチーム全体を非常にフォローしているように見受けられる。

後半31分に、ラフィーニャと交代しピッチを後にしたが、スタンドの観客からは大きな拍手で迎えられていた。2戦目に大ブーイングを受けていたときとは完全に様相は異なっている。

ブラジルにとって悲願の金メダルまであと1勝である。決勝の相手はドイツに決まった。ドイツといえば何といっても2014年ブラジルW杯での”ミネイラォンの悲劇“である。

オリンピックは、U23代表チームで戦うので、W杯のフル代表とはメンバーがだいぶ異なるが、相手がドイツといえば燃えないわけはないだろう。

決勝戦は、20日(土)午後5:30(日本時間21日(日)午前5:30)から、マラカナン・スタジアムで行われる。勝ってブラジルに有終の美を飾ってほしい。そして、ブラジルサッカーを再び、全世界に向けて誇示してほしいと思う。

(文/コウトク、写真/Assessoria CBF)
写真は試合前、8月16日、サッカーブラジル代表の合宿所グランジャコマリー。ファンと交流するネイマール

著者紹介

コウトク

2005年6月~2012年6月まで仕事の関係で、ブラジルに在住。ブラジル在住当時は、サッカー観戦に興じる。サントス戦については、生観戦、TV観戦問わずほぼ全試合を見ていた。
2007年5月のサンパウロ選手権と2010年8月のブラジル杯のサントス優勝の瞬間をスタジアムで体感。また、2011年6月のリベルタドーレス杯制覇時は、スタジアム近くのBarで、大勢のサンチスタと共にTV観戦し、優勝の喜びを味わった。

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