ロート製薬、ブラジルへの進出活動について

2016年 09月 13日

ブラジル メンソレータム

しかし、医薬品や化粧品のような規制業種では、①の輸入会社であっても、許認可を取得するのに年単位の時間が掛る点、また生産委託では製造のライセンスやノウハウが受託会社に渡ってしまう危険性があった為、②③の合弁や買収によって、必要な許認可及び工場を含む施設や人材と、彼らの持つ業務上のノウハウ等を一挙に取得するのが得策と思われた。

それで、後に我々のコンサルタントとなった前述のG氏に頼んで、一般薬や化粧品を製造する手頃な規模の企業を探して貰った。

その中では会社の状況によって、合弁希望先と買収希望先が分かれたが、合弁は後に相手と意見の相違が考えられた為、買収案件に絞った。医薬品や化粧品会社を売りに出す時の典型的な状況として、当局の製造環境への規制が厳しくなり、それに対応すべく施設を改善したが、改善後に資金が回らなくなってしまったというのがある。当局が先進国に追い付く為、規制基準を段階的に上げている事が原因にあり、元々金利の高い国である為、目算が狂うと返済出来なくなるのである。

また、08年のリーマンショックが各オーナーの資産状況に少なからず影響していた。従って、売りに出た会社は大抵、借金だらけであった。借金は税金滞納が中心だが、概ね借金が年間売上の半分を超えると、自力での復活が難しくなると聞いていた。

もう一つの典型事例は、後継者不足で会社を手放す場合だった。これには、良い会社があったが、税込売上の 4倍 5倍の買収額を要求し、独特の要求理論を展開、なかなか折り合えなかった。

ところで、ブラジルは企業誘致に熱心な州や市があり、独自の誘致策を準備している所がある(次ページへつづく)。

(文/上島英郎、記事提供/ブラジル特報(日本ブラジル中央協会)、写真/Divulgação)
写真はロート製薬のグループ企業、メンソレータム社・ブラジルのLip Iceシリーズから発売されたLip Ice Cube)