薬きらいのワンちゃんも食べやすいビスケット状内服薬を発売

2016年 12月 13日

犬の健康ビスケット

ブラジルに関わると、ブラジル人から並々ならぬ感情の量を感じることが多々ある。家族に対する愛情にも限度がなく、父の日や母の日は一大消費イベントとなっている。

近年は限りない愛情を注ぐ対象にペットも含まれるようになったようで、大都市の街中では「ペット同伴可」と書いた飲食店や、ペット用のケーキ、アイスクリームなどのスイーツも登場している。

そんなペット商戦花盛りのブラジルで、また一つ新しいビジネスが始まったようだ。

TVグローボが12月4日(日)、経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」で伝えたところによると、ペット専門薬局が、ペットにストレスなく投薬できる薬品を発売したという。

この画期的な商品、「ビスケット状内服薬」を開発したのは、サンタカタリーナ州ジャラグアー・ド・スウ市在住のマルセロ・ピアゼーラさんとヘナータ・ピアゼーラさん夫妻。二人は動物専用薬局「フォルムラ・アニマウ」をフランチャイズ化し、自ら開発した商品を契約店舗に卸して販売している。

ペットを飼う人の共通の悩みとして、ペットが薬をすんなりと飲んでくれないことがあげられる。口に入れるときに暴れたり、せっかく口に入れてもすぐに吐き出したり、投薬の時間は飼い主にも、ペットにも、かなりのストレスだ。

しかしながら、このビスケット状内服薬を活用すれば、飼い主もペットもストレスなく薬をペットに飲ませることができる。

「私は薬剤師としての資格も経験もありましたが、動物用の薬剤開発は初めてでゼロからのスタートでした。獣医さんのセミナーや講義をたくさん受け、自分でもたくさんの調査をして、それぞれの動物が最も好む味や形を追求し、商品化することができました」(ヘナータさん)

「自分たちの商品の市場はブラジル全土、と考えていたので、このジャラグアー・ド・スウにいながらそれを実現するにはフランチャイズ方式が最も適切だと判断しました」(マルセロさん)

ピアゼーラ夫妻と契約し、1か月前にフランチャイズ店として開店したカロリーニ・サバさん。開店にかかる自己投資額は18万レアル(約630万円)だった。

「投資した価値はものすごくあったと思います。すごいペースで投資額を回収しています。毎日毎日が学ぶことばかりで犬や猫の飼い主とのコミュニケーションにも充実感を感じています。開店して間もないにも関わらず、お客様から感謝の言葉をたくさんいただいています」(カロリーニさん)

ピアゼーラ夫妻のフランチャイズ店では、ビスケット状内服薬だけでなく、猫のための塗り薬も扱っている。

こちらは猫の毛づくろいの習慣を利用した商品で、足に猫の好きなにおいのする塗り薬をつけておくことで、毛づくろいの際に猫が自然に薬を飲めるように工夫したものだ。

また、液状の鎮静剤も扱っている。恐怖による萎縮、嫉妬、異常な興奮状態などの症状をおさめたい時に効果があるという。

「犬は大きな音、特に雷や花火の音を怖がり、お祭りの時などにパニックを起こし、飼い主を困らせることがありますが、そういう時に効果を発揮します。お祭りの時期、特に年末のカウントダウンパーティなどにはとても有効です」(ヘナータさん)

実際に使ってみた顧客はいう。

「ブラジル人はにぎやかなことが好きだし、イベントには花火はつきものですよね。犬が騒ぐからと言ってパーティーを中断するわけにはいかないでしょう? 実際に使ったらすぐに犬が落ち着いて、とても助かりました」

ピアゼーラ夫妻のフランチャイズ店では上記の薬剤だけでなく、動物用の化粧品、シャンプー、日焼け止めなども扱っている。

夫妻は3年間でブラジル全土で18のフランチャイズ店舗と契約し、開店した。開店資金は1店舗当たり約15万~25万レアル(約520~870万円)程度だが、開店には必ず薬剤師を置く必要があるので注意。

Fórmula Animal(フォルムラ・アニマウ)
住所:Alameda Franca, 1332, casa 06 – Jardim Paulista
電話:(11) 2507-4114 / (11) 99778-1332
Site: www.formulanimal.com.br
Email: vendassp@formulanimal.com.br

(文/原田 侑、写真/Reprodução/Pequenas Empresas & Grandes Negócios/TV Globo)
写真はいぬのための薬入りビスケット。「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」より。日本ではIPCTV/グローボインターナショナル(スカパー 514ch)で放送中