大物財界人アイキ・バチスタ氏に身柄拘束命令。米国へ逃亡か

2017年 01月 28日

アイキ・バチスタ

バチスタ氏の罪状・容疑のうち、ラヴァ・ジャット作戦における容疑は以下。

贈収賄捜査において本格的にターゲットになる前から、バチスタ氏は参考人として捜査の範囲に入っていた。昨年、同氏は前政権の選挙公報責任者、ジョアン・サンターナ氏の妻についての証言で、サンターナ夫妻の海外にある銀行口座に230万ドル(約2億6000万円)を送金したと述べた。バチスタ氏によると、この資金は労働者党(PT)の選挙用で、当時の商務省長官、ギド・マンテーガ氏の依頼に基づき、2012年ブラジリアで送金されたとのことだ。

数か月後、この証言がもとになってラヴァ・ジャット作戦は新フェーズ、「アーカイブ10」をスタートさせることになった。ここでマンテーガ氏は一時収監を言い渡された。コラムニストのジェルソン・カマロッティ氏による、ラヴァ・ジャット作戦捜査員への聞き込みによると、バチスタ氏の証言はいつも部分的で、作戦の進展を阻む意図は明白だったという。

26日に始まったラヴァ・ジャット作戦のフェーズ「エフィシエンシア(効率性)」でバチスタ氏を含む9人の収監が決まった。カブラウ氏の公共工事発注をめぐる贈収賄ネットワークを構成していた容疑で、とのことだ。バチスタ氏自身は契約の偽装によりカブラウ前州知事に1650万ドルの賄賂を贈った疑いがもたれている。告発したのは資金運用会社2社だ。

9人のうち7人はすでに収監または拘束されているが、バチスタ氏とフランシスコ・ヂ・アシス・ネト氏は逃亡中。1月24日の夜、リオのガレオン空港発ニューヨーク行の便に搭乗するためバチスタ氏が出国手続きをする映像が27日、テレビで公開された。ドイツ国籍を持つバチスタ氏が犯罪者引き渡し協定を結んでいないドイツに逃亡すると逮捕は難しくなる、と刑法専門家は言う。

ラヴァ・ジャット作戦特別チームによれば、バチスタ氏はリオデジャネイロ州の公共工事受注において口利きを行ってきた容疑があるという。とはいえまだ1650万ドルの資金使途は特定されていない。連邦公共省によれば、汚職防止法では贈賄が「公務」のための資金調達に応じたものであったかどうかの特定は告発の要件にはならないという。

バチスタ氏の罪状・容疑のうち、金融犯罪は次の通り(次ページへつづく)。

(文/原田 侑、写真/ Tânia Rêgo/Agência Brasil)
1月26日、リオデジャネイロ。ジャルジンボタニコのアイキ・バチスタ氏宅でオペレーションの待機をする連邦警察官