大物財界人アイキ・バチスタ氏に身柄拘束命令。米国へ逃亡か

2017年 01月 28日

アイキ・バチスタ

バチスタ氏の罪状・容疑のうち、金融犯罪は以下。

連邦公共省リオ支部は2014年4月、バチスタ氏を未公開情報を用いたインサイダー取引の疑いで告発した。告発は受理され訴訟プロセスに入っている。OGX社株式売却の際、会社の実態に関する情報を持っていながらそれを開示しなかったことが告発の対象となった。

裁判所はバチスタ氏の財産を凍結あるいは差押えた。2013年5月から6月にかけての第1回目のOGX社株式売買において同氏は1億9700レアル(約71億円)で売却し、1億2300万レアルから1億2600レアル(約44億3000万円~45億4000万円)の利益を得た。第2回目の売買は同年8月から9月にかけて行われ、1億1100万レアルで売却した。告発された当初、バチスタ氏は不正取引を否定した。告発はまだ審議中だ。

連邦公共省サンパウロ支部はバチスタ氏を別の2件の容疑で告発している。インサイダー情報を用いて株式の売買を行った容疑と、虚偽の情報を流すための組織を組成し、他の投資家に判断を誤らせた容疑だ。サンパウロ連邦裁判所は告発を受理したが、リオ連邦裁判所に送致した。

連邦公共省サンパウロ支部によると、2013年4月、バチスタ氏はサンパウロ証券取引所で約1000万レアル(約3億6000万円)相当額のOSX社株式を売却した。売却額総額は3370万レアル(約12億1000万円)だったが、売却の際、バチスタ氏が知っていたOSX社のネガティブな財務情報は公になっていなかった。バチスタ氏の弁護人は同氏が売却時にインサイダー情報は持っていなかった、氏の行為は市場操作にもあたらない、と主張した。

バチスタ氏とOGXの元経営陣は2009年から2013年にかけて、同社の業績見込みに関して虚偽の情報を市場に流し株価操作を行った容疑でも告発されている。検察官カレン・ルイーズ氏とジャネット・カーン氏によると、投資家が被った損失は144億レアル(約5184億円)に上ると見られている。

2016年4月、情報の虚偽表示と犯罪組織組成の罪状に関して連邦地方裁判所第2地区での第2審が行われ、身柄拘束令状が出た。この時点から容疑者から被告に変わった。しかしながらOGX経営陣は投資家に判断を誤らせる情報を流し続けている。

2016年5月、リオデジャネイロ州裁判所は損害を被ったOGXの一般株主が原告となった民事提訴を取り下げた。同裁判所第7法廷においてフェルナンド・セーザル・フェヘイラ・ヴィアナ判事は、投資家は株式市場のリスクを認識していたとの判断を示した。

(文/原田 侑、写真/Marcello Casal Jr/Agência Brasil)
写真は2015年11月、ブラジリア。国立経済社会開発銀行(BNDES)に関する不正疑惑で聴取を受けたアイキ・バチスタ氏