リオオリンピック誘致でIOC幹部に賄賂か?

2017年 03月 5日

セルジオカブラウ オリンピック賄賂

贈収賄捜査「洗車作戦」でしばしば新聞紙面を賑わせているルーラ元大統領。リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック誘致はルーラ政権下で実現したが、そのプロセスにも贈賄の疑いが出てきたという。

TVグローボが3月3日、報道番組「ジョルナウ・オージ」で伝えたところによると、フランスの「ル・モンド」紙が2016年オリンピック・パラリンピックの誘致過程に贈収賄疑惑があると報じているという。

ル・モンド紙によると、2009年10月、リオがオリンピックシティに選ばれたと報じられる3日前に国際オリンピック委員会(IOC)の複数の幹部に賄賂が支払われたという。

フランス法務省の調査によると、パパ・マッサタ・ディアック氏はリオ州前知事セルジオ・カブラウ氏と関係の深い事業家、アルトゥール・セーザル・ヂ・メネーゼス・フィーリョ氏から150万ドル(約1億7300万円)受け取った疑いがあると「ル・モンド」は伝えている。パパ氏は国際陸上連盟会長だったラミーヌ・ディアック氏の息子で、オリンピックシティを決める投票でリオ市に投票した一人だった。

アルトゥール氏はリオ州の公衆衛生・飲食・交通機関などの公共事業を受注してきた企業グループのオーナーで、2月初めにアルトゥール氏は連邦公共省リオ支部で証言を行った。検察は同氏が前リオ州知事カブラウ氏を中心とした贈収賄スキームに深く関わっていたことは十分にあり得るとみているが、本人はリオ州から受注し続けるために前州知事に便宜を図ったことはない、と否定している。

「ル・モンド」によると、パパ氏への支払いは英領バージン諸島に本社を置くアルトゥール氏の会社、マトロック・キャピタル・グループを通じて行われた疑いがあるという。また2回目の50万ドル(約5700万円)はパパ氏のロシアにある銀行口座に入金されたとみられている。ディアック父子は現在フランスで捜査の対象となっている。

「ル・モンド」はまた、オリンピックシティの投票の日、ナミビアの元陸上選手、フランキー(フランク)・フレデリックス氏はパパ氏から30万ドル(約3450万円)を受け取ったと伝えている。投票の時期にフレデリックス氏はIOC陸上連盟の会長で、円滑に投票が進むよう監督する立場にあった。現在フレデリックス氏は2024年の候補都市の査定委員会を率いている。

IOCはプレスリリースを発表し、フランスでのディアック父子に対する捜査に協力することを宣言した。リリースでIOCはフランキー氏への30万ドルはスポーツマーケティング業務に対する報酬だと説明している。

リリースではまた、投票において、2位のマドリードに66対32という大差でリオが得票して選ばれたため、数票が動いたところで結果は変わらなかったとも説明している。

アルトゥール氏の弁護士いわく、アルトゥール氏は「ル・モンド」で報じられたことや、そこに書かれている事実関係について何も知らされていないとのことだ。

(文/余田庸子、写真/Shena Reis/GERJ)
写真は2013年11月8日、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックに向けての交通網整備候補地を視察したセルジオ・カブラウ知事(当時、左から2番目)