ラヴァ・ジャット作戦の先にある、ブラジル刷新のチャンス

2017年 05月 13日

ルーラ大統領 デモ ブラジル

テメル大統領も2014年の総選挙において不正資金の恩恵を受けたとされている。カルドーゾ元大統領の党である社会民主党 (PSDB)の三人の大物、アエシオ・ネーヴィス(元ミナス州知事)、ジェラウド・アウキミン(サンパウロ州知事)、ジョゼ・セーハ(前外務大臣)の氏名もリストに上る。

労働者党 (PT)の多数の幹部や同党の最も重要な歴史的リーダーであるルーラ元大統領もラバジャット捜査関連で告発
されている。

こうした政治混迷にダメ押しをするように、ブラジルは過去2年間、史上最悪の景気後退に見舞われた。GDP 成長率は、2015年がマイナス3.8%、16年はマイナス3.6% であった。

内戦があったわけでもなく、特別な国外要因があったわけでもない。この惨事は、近年の政権が採用した政策の結果である。

GDPの落ち込みに人口増を勘案すれば、ブラジル国民一人当たりの所得は、この二年間で9%も縮小したこと
になる。この結果が、政権の極めて低い支持率となっている。いずれの世論調査でも、テメル政権の支持率は10%~15%を示している。

このような落胆させられる現況だが、このことから二つのことが見えてくる。

第一は、大統領にせよ国会にせよ、もはや失うものが何もない、ということである。

(次ページへつづく)

(文/フェルナンド・ホロリゲス、記事提供/日本ブラジル中央協会、写真/Fernando Frazão/Agência Brasil)
写真は3月26日、リオデジャネイロ、コパカバーナ。ラヴァ・ジャット作戦への応援と、政治の腐敗に対する抗議デモ