ブラジルでアフリカ系人口向け化粧品キュレーションサービスはじまる

2017年 07月 26日

アフロボックス ブラジル

インターネットの普及により、従来の新聞・テレビの時代とは比較にならない情報量の中で生きる現代人。自分に必要な情報の判別に悩むのはブラジルでも同じだ。

日本でも自分好みの書籍、洋服を代わりに選んでくれるサービスが定着してきたが、ブラジルでも新しいキュレーションサービスが話題を呼んでいる。

TVグローボが7月9日、経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」で伝えたところによると、リオ・デ・ジャネイロでアフリカ系人口向けに化粧品を選んでくれるサービスが始まったという。

ブラジルではモレーノ、ムラート、ネグロなど、アフリカ系人口に対する混血の分類が多数存在し、現にアフリカ系と分類される人口は全体の6割以上といわれる。

一方、従来の化粧品市場はヨーロッパ系人口を前提としているものがほとんどで、店頭でもアフリカ系顧客に対するアドバイスに長けたコンサルタントは少ないという。ブラジルは他地域と比べて混血が進んだ歴史的な背景があり、ひとえにアフリカ系とはいっても一人ひとり肌色のトーンが異なるからだ。

そこに商機を見出したのはリオ・デ・ジャネイロの起業家、エリダ・ヂ・アキーノさん。アフリカ系であるエリダさん自身も長い間、化粧品選びに頭を悩ませてきた。

エリダさんは友人のサウロ・バチスタさん、バルバラ・ヴィエイラ・ダ・シウヴァさんと一緒に、化粧品キュレーションサービス「アフロボックス」を立ち上げた。

投資額は6500レアル(約24万円)、資金はクラウドファンディングを通じてサービスの利用希望者から調達した。

現在はアフリカ系女性のみが対象となっているが、出資者はアフロボックスのサイトから肌の色合い、好み、肌質等化粧品選びに必要な情報を登録する。出資者の登録情報とアフロボックスがあらかじめ選別した商品情報とのマッチングが行われ、キュレーションが成立する仕組みだ。

「アフロボックス」は複数の化粧品会社と交渉し、商品サンプルの提供を受けている。出資者はそれらのサンプルを受け取るため、商品自体の代金支払いは発生しない。

代わりに出資者は受け取った商品や自身のライフスタイルに関するアンケートへの回答や、自身の肌の状況に関するデータを提供する。

アフロボックスが出資者から受け取るのはキュレーション料のみで、サービスプランは月額64.90レアル(約2400円)からとなっている。単月プラン以外に半年・1年と長期のものがあるが、それぞれ月額が割安になる仕組みだ。

このプランを申し込んだ出資者は月に一度、クリーム、シャンプー、口紅など5-8品が入った箱を受けとる。

サービスは2016年12月に始まったが、月100件の注文、5300レアル(約20万円)の売上を計上している。

共同起業家のバルバラさんは起業の動機を次のように語っている。

「私たちはアフリカ系人口を対象とした化粧品・美容市場が確実に存在していることを世に証明したいのです。また、化粧品会社はその市場の構成や好みの傾向について知りたがっています。情報がないと商品も作れませんからね」(バルバラさん)

経済面では社会階層を超えたコンタクトがまだまだ少ないブラジル。人口の約6割をカバーする巨大な潜在市場を開くにはマーケットとメーカーをつなぐアフロボックスのような仲介者が不可欠だ。常に灯台元とされてきたこの巨大市場に光が当たるようになった点には、社会の大きな変動を感じる。

AFRÔ BOX(アフロボックス)
電話: (21) 3358-5116
電子メール: afrobox@souafro.com.br
ウェブサイト:www.souafro.com.br

(文/原田 侑、写真/Divulgação/Thásya Barbosa)