フロリダのハリケーン被害でブラジル産オレンジ価格が上昇

2017年 10月 2日

オレンジ収穫 ブラジル 豊作

今年の8月から9月にかけて、カリブ海諸国とアメリカ合衆国南部で甚大な被害をもたらしたハリケーン。市民の生活に大きな爪痕を残したが、農産物にも甚大な影響を及ぼした。

農作物についてはアメリカ合衆国フロリダ州のハリケーン「イルマ」による被害が大きく、果樹園の木々が水没した映像で自然の猛威をまざまざと見せつけられた。当然ながら、フロリダではオレンジ生産量の大幅減少が見込まれる。

グローボ系ニュースサイト「G1」が9月30日づけで伝えたところによると、フロリダ州での不作がブラジル産オレンジジュースの需要を押し上げつつあるという。

「イルマ」がフロリダ半島を襲ったのはちょうどオレンジの収穫時期だったが、収穫の直前に果樹園の木々は水没、収穫はかなわなくなった。

イルマが上陸した後、ニューヨーク商品先物市場ではオレンジジュースの需給ひっ迫を読んだ投資家たちの売買により、先物11月限は1週間で6.2%上昇した。

イルマの影響はまだ精査されてはいないものの、ブラジル柑橘類ジュース輸出業協会(以下「シトラスBR」)のエグゼクティブ・ディレクター、イビアパーバ・ネト氏によると、アメリカの農畜産業に甚大な損害をもたらすことは間違いないとのことだ。同氏によると、損害試算の第一報は10月中に出る見込みだという。

ブラジル柑橘類アドバイザー協会のメンバーで農業工学研究者のマウリシオ・メンデス氏によると、フロリダ大学の調査団は州内で50%~70%の生産量減少を見込んでいるとのことだ。

アメリカ合衆国はブラジルにとってすでに主要な輸出先だが、長くヨーロッパには及ばなかった。しかしながらイルマによる被害により、今後、合衆国におけるブラジル産オレンジジュースの需要は高まっていくことは必至だ。

実はハリケーンの襲来前からすでにフロリダのオレンジ生産には影が差していた。柑橘グリーニング病の素となる細菌による被害が蔓延しつつあったため、合衆国での需給はすでにひっ迫し、価格は上昇局面にあった。

幸いにして今年のブラジル産オレンジは超豊作で、合衆国での品薄状態を補えるだけの在庫をもっている。超豊作による供給過剰で農家は市場価格の低下を心配していたが、それも杞憂に終わりそうだ。

(文/原田 侑、写真/Cocamar/FotosPúblicas)
写真は、今年の収穫が始まった6月のパラナ州ホランジアのオレンジ農園。同州のオレンジの収穫も前年比33%増となっている