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ブラジル「パイロットペン」、事業開始から63年。更なるチャレンジへ

サッカー パイロット

~創成期

ブラジルへ最初の日本人移民の到着からわずか46年後の1954年、日本以外で生産販売拠点として良好なビジネスチャ
ンスが生まれるとして、パイロット万年筆(現:パイロットコーポレーション)はサンパウロ州イタケラに初めて会社を設立した。

当時は万年筆とそのインキを日本から輸入し商業活動を開始。販売活路確立にブラジル全土を駆け巡る日々を送った。

その一方で現地生産の準備を進め、翌年1955年コンジ・ド・ピニャアゥに15人の従業員と 100㎡に満たない倉庫を
借り入れ万年筆用のインキの製造に着手し生産量を伸ばしていった。

1958年、いよいよ油性マーカー(Pincel Atômico)の生産を開始する。現在でもフル生産を行っている。

万年筆の現地生産の準備が進み手狭になった倉庫から1959年、サン・ミゲル・パウリスタに自社工場を開設、このサンミゲル工場移転と同時に万年筆の現地生産を本格化させ直接従業員の数は350人に達した。

ブラジル・サンミゲル工場は日本以外の工場の中で最も古い海外工場となった。現在は2013年1月にサンパウロ州ジュンジアイ市に 35,746㎡の土地を購入、新工場を建てサンミゲルから工場移転を果たした。

~チャレンジ

今日、販売されている主要製品の一つに、ホワイトボード用のマーカーペン、 V-BORD MASTER とそのカートリッジ
(レフィル)がある。これらの製品は2007年8月当時、大量に輸入された。この輸入計画の背景にはブラジルで販売さ
れているホワイトボードマーカーの品質の改善にあった。

当時のホワイトボードマーカーは直径5㎜ほどの円筒形のプラスチックの中にフェルトを詰めインキを浸み込ませて先端のフェルトチップにインキを供給するタイプである。安価に製造できる反面、ホワイトボードに長距離筆記を行うとインキが追従せずかすれやすい現象が起きていた。またインキが少なくなるに従い筆跡が薄くなる性質でもあった。この現象から、薄い筆跡が問題になっていた。

この課題に対応してフェルトにインキを浸み込ませるタイプからフェルトタンクを用いない直液カートリッジ式のタイプへ機能アップした製品を投入する計画を立てた。

直液式のメリットは長距離筆記でも追従が良くかすれず、インキ減少に対しても筆跡は当初の濃いままに筆記出来る事である。この製品を各地販売店に持ち込み試筆してもらい異口同音に好感触を得て大量入荷に踏み切った。保管スペースが必要となり外部倉庫を借りる事になった。

いざ上市へ。が思うように伸びない。同様の製品がブラジルになく機能が進んだものであったこと。直液の販売期間がないことで最後まで濃く筆記できるのか液漏れが不安などと安全性や利便性に理解を頂けなかった。

当社の販売スタッフ、プロモーターにより高校、大学、企業へ出向きデモンストレーションションを繰り返し、サンプル提供を行った。デモンストレーションでは他のマーカーとの比較ではなく V-BORD MASTER の「売り」を徹底して説明した。

当時は学校関係立ち入り許可は関係官庁から容易に出ず、デモンストレーションの前に多くの時間を立ち入り許可取得のために費やした。許可取得できても次の難関は該当する学校の購買担当者とアポを取るのに一苦労、口頭説明では製品の良さが伝わらず資料を送付しても閲覧頂く時間がなかったようでアポ取りにも時間を要した。

訪問先の一部の学校ではチョークが主流になっていてマーカーの販売の前にホワイトボードの良さを紹介したこともあり販売の舞台作りも行った。

コマーシャルはデモンストレーションと当時に雑誌、新聞や駅構内看板で実施。結果3年間を要したが全世界でNo.1 の売上を得ることが出来ている。

日本国内市場と異なったユーザーの動向にブラジルでの販売の難しさを学んだ。ブラジル国内ではお陰様でマーカー類のシェアーNo.1を維持している。

今日の V-BORD MASTER マーカーは、私立公立小中高の学校、大学、企業や市、州と連邦機関で使われている。創業以来造り続けている油性マーカーPincel Atômico はピンセルアトミコが油性マーカーの代名詞になっている。

水性カラーペンの Lumi-Color もブラジルに適したプロモーションを行い定番品として定着している。どれも PILOT PEN DO BRASIL が自信を持つ製品である。

これらの結果、当社はブラジル市場で絶対的なマーカー類のリーダーとしてのポジションを保っている。

~更なるチャレンジ

2015年下期から滑らかな書き味の新油性ボールペン製品名 BP-1INOX の一貫生産を開始した。ボールペンの心臓部
であるチップ(精密加工、インキが出る先端部)がブラジルで加工出来たことが大きな自信につながっている。ブラジルに筆記具は沢山販売されているが、お客様が「これ欲しいな」と思われる製品を造り続けて行きたい。

(文/村松正美、写真/Rodrigo Gazzanel/Agência Corinthians)
パイロットペンはサッカーチーム、ポンチプレッタのスポンサーも務めている

ブラジル特報 2017年7月

※「ブラジル特報」は日本ブラジル中央協会が発行している機関紙。政治、経済、文化、芸能など多岐に渡るブラジルの話題を掲載。隔月発行、年6回、会員に無料配布される。日本ブラジル中央協会への問い合わせは、E-mail info@nipo-brasil.org、TEL:03-3504-3866、FAX:03-3597-8008 まで。

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