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【コラム】 パゴーヂの聖地チア・ドッカとスーパースター、シャンヂ・ヂ・ピラーリス

VIVIANE

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※リオのパゴーヂなどで活動中のViviane Yosimiさんのコラムがスタートします。
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2018年のGWの日曜日、わたしはマドゥレイラの「パゴーヂ・ダ・チア・ドッカ」にいた。

ここで歌うことは前日の土曜に歌ったフェイラ(市場)のパゴーヂで決まった。わたしの特別な友達であるジョゼーの友達マルシリオが歌を聞いてくれて誘ってくれたのだ。

パゴーヂとはサンバの一種であり、世間によく知られているリオのカーニバルよりも、非常に小規模のホームパーティのような感覚のサンバの集まりだ。わたしの主観と感覚ではリオのカーニバルが世界的なお祭りだとしたら、パゴーヂは普段着のサンバだと思う。

マルシリオにも聞いてみたら、彼は以下のように教えてくれた。

「サンバはとても大きいものなんだけどパゴーヂはその中でのムーヴメントの一つだよ。サンバが生まれたあとに数人のミュージシャンが輪になって演奏したり、歌ったり、ビールを飲んだりし始めたんだけど、そんなパーティがあちこちで起こり始めたんだよ。リオのカーニバルのミュージシャンはだいたい200人くらいいるんだけどパゴーヂはわずか10人のミュージシャンでも演奏できるからね、とても濃縮されたサンバなんだよ」

しかもここは、リオでもかなり、かなり、有名なパゴーヂだ。場所はマドゥレイラの端っこにある。このへんはサンバ・カリオカの生まれ故郷らしい。

毎週日曜日には“サンバ・ド・ネン”というパゴーヂをネン・ド・サンバさんがやっている。

そして今日は特別な日。なんとサンバ界のスーパースター、シャンヂ・ヂ・ピラーリスが凱旋公演を行うという。なんてタイミングだ! いろいろ重なったタイミングに感謝するしかない。

pagode tia doca

ここへくるまでに、今回リオでは5箇所のステージで歌わせてもらった。まさか帰国日の前日までショウをさせてもらえるなんて思っていなかった。

明日には帰国するという実感も湧かぬままわたしとジョゼーは早々にカマロッチ(特別席のようなもの)入りしていた。まだ早く、人もまばらな会場では蚊取線香のようなものすごく煙の出るなにかを持ち歩いているスタッフがいる。とにかくけむい。

ステージがとてもよく見える席で乾杯をし、マルシリオがテーブルに加わりパゴーヂが始まると、3人でサンバを絶叫しながら歌った。だいぶ盛り上がったところでネンさんがわたしを呼んだ。

カマロッチは階段を上がったロフトみたいなところにあるので、1階のステージまで歩いて行った。すると“サンバ・ド・ネン”のミュージシャンたちが入場テーマみたいなものを演奏してくれた(「アモール・オリエンタウ」っぽい(笑)曲だった)。

ステージに立つとお客さんの顔がとてもよく見えた。みんな地球の反対側からやってきた謎の日本人(わたし)を見てくれていた。今日はまだブラジルでよく使っているセリフ「Eu sou Japonesa do Japão(わたしは日本からやってきた日本人です)」って言っていない。ネンさんがすでにたくさん言ってくれている。

ネンさんと少しだけステージの上で話をしてだけで、さあ歌ってという感じでいきなり出番となった。曲は「ルシデス」だ。バンドの人が音を出し始めて歌い出した。歌い出したらリズムが聞こえ出す。マイクから発しているわたしの声は、とても柔らかい音がして全てどこかに吸い込まれていきそうだった。

謎の日本人を見つめていたお客さんは、笑顔で踊り始めた。スマホで動画を撮ってくれてる人もたくさんいる。一人一人の笑顔がキラキラして見えた。こんなにもお客さんの反応がダイレクトに感じられるなんて、このステージに立てている時間のプレゼントを楽しんでいた。

間奏でラララと歌っているところで、たくさんのお客さんのキラキラした笑顔が、さらにキラキラして見えた瞬間、空から“カンタ・コミーゴ(わたしと一緒に歌って!!)”という言葉が降ってきたので大声でそう叫んでみたら強烈なレスポンスをみんなが返してくれた。

そこからみんな一緒に歌ってくれたのだが、みんなの歌声は次第に熱を帯び、地響きがしてきた。大音量というのを超えてもはや地響きなのだ(笑)。会場が揺れているように感じた。

一曲歌い切ると惜しみない拍手をしてくれた。みんなムイント オブリガーダ(どうもありがとう)。

ネンさんが「もう一曲やって!!」と言ってくれた。

びっくりしたが魔法にかかった時間をもう少し見たかったわたしは、今日はシャンヂが来るからへヴェラサォンの「デイシャ・アコンテッセール」がやりたいと伝えた(シャンヂ・ヂ・ピラーリスはへヴェラサォンの元メンバーで「デイシャ・アコンテッセール」はへヴェラサォンの代表曲)。この曲は本当に大好きな曲。みんなのキラキラとエナジーを感じながらこの曲も歌い切った。

不思議な顔でわたしを見ている人はもういない。いまもキラキラした笑顔で見てくれている。みんなにありがとうと言いお客さんに手を振りながらステージを降りた。

xande

そのあとようやくシャンヂが近くに来たので、写真をお願いして今日のステージで「デイシャ・アコンテッセール」を歌ったことを伝えた。シャンヂはとても喜んでくれてわたしも幸せだった。同じステージに立てたなんていまでも信じられない。

こうしてわたしの今回の旅は、ミラクル続きで幕を閉じることになった。

翌日ジョゼーがメッセージをくれた。

Quando voltar já terá as portas abertas para mais um sucesso。あなたが戻ってきたとき、すでに扉は開いている。さらなる成功のために(意訳)

わたしからはみんなにこう言いたい。すべての人にありがとう。必ず戻るからまた会おう。

<次回の予告>

次回からはここへたどり着くまでのお話、サンバのお話やブラジルのこと、ポルトガル語のことなどについて書きたいと思います。Instagram(@vivianeyoshimi)もぜひフォローしてくださいね。

(文/Viviane Yoshimi、写真/Anna Galazans/Samba do Nem)
写真上、左ジョゼー、右がマルシリオ。写真下、左がシャンヂ・ヂ・ピラーリス

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著者紹介

ブラジル音楽をひととおり通り、いまでもいろんなジャンルのブラジル音楽を聴き続ける、ブラジル音楽愛好家のなかのラフレシア。リスナーから歌手になり、2018年春に本場リオ・デ・ジャネイロへPagode修業の旅に出る。リオでは地元でも屈指の老舗Renacemça club,Pagode da Tia Docaを含む、全5箇所をまわりハードすぎる武者修行を終え、いまもトレーニング中。平行してオリジナル曲も絶賛作成中。Instagram@vivianeyoshimi