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トン・ゼー

トン・ゼー (Tom Zé)

  • 生年月日 : 1936年10月11日
トン・ゼーは、ブラジル音楽というよりもポピュラー音楽史における無二無三=この世にただひとつだけで他に類がない音楽家の一人だ。60年代末のトロピカリアのバイプレイヤーは、90年代に入り再発見され当時の瑞々しさそのままに大河のごとく揺るぎない音楽を現在まで奏でてきた。 サイケデリックや前衛・実験性といったキーワードで長らく語られてきたが、根底にあるのは不朽かつ万能なブラジル北東部の伝統的な音楽の懐の深さだ。クラシックからヒップホップやエレクトロなど現代のポピュラー音楽まで自在に摂取できる柔軟性と芸術性に加え、ジャーナリスティックな視点から生み出されるシニカルな風刺や反骨精神など一貫したメッセージがトン・ゼーの音楽を形成している。 1936年ブラジル北東部バイーア州イララー出身。幼い頃にジャクソン・ド・パンデイロのコーコ、ルイス・ゴンザーガのフォホー、地元の伝承音楽などに影響を受けたという。1951年には州都のサルヴァドールに移り住みバイーア音楽大学で作曲やオーケストレーションなどを学んだ。 ブラジルで1960年代後半に起きたブラジルの芸術運動「トロピカリア」の初期からの主要メンバーの一人としても知られる。軍事政権への反対運動とリンクした音楽ムーブメントは、1963年はサルヴァドールで出会ったジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾ、マリア・ベターニア、ガル・コスタら気鋭の音楽家たちによる音楽イベントが原点となり、1964年の夏にはパブリックプロムナードで、カエターノ監修によるコンサートを成功させ、65年のイベント成功後には、彼らは揃ってレコード・デビューするなどプロのミュージシャンとしてスタートの切っ掛けとなった。 トン・ゼーもRCAからデビュー・シングルを発売し、同時期に作曲した「Parque Industrial」は、後に歴史的作品となるコンピレーション作『Tropicalia ou Panis et Circenses(トロピカリア)』(1968年)に収録され、ムーブメントの最大の盛り上がりの一端を担うこととなる。 トロピカリアはブラジルの軍事独裁政権への抵抗運動としてデモなどに発展したが、1968年末にカエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルが逮捕されロンドンに亡命したことで一気に下火に。残されたトン・ゼーはリオやサンパウロなどの主要都市でライブ活動を続ける傍ら、サンパウロで音楽コースを開設、70年代に入る精力的にアルバムを発表し続ける。『TomZe』(1970年)『Tom Ze (Se O Caso E Chorar)』(1972年)、『TODOS OS OLHOS』(1973年)、『Estudando O Samba』(1976年)、『Correio Da Estacao Do Bras』(1978年)と現在は再評価されている作品群は当時は全く注目を浴びることもなく時代に埋没してしまい80年に入り『Nave Maria』(1984年)を発表後は故郷に戻り甥の経営するガソリンスタンドで働く不遇の日々を過ごすことになる。 一度は終わりかけていたトン・ゼーの音楽キャリアは、90年代に入りデヴィッド・バーンを通じて発見されたことで世界で脚光を浴びることとなる。1989年にリオ・デ・ジャネイロを訪れたバーンはレコード屋で『Estudando o Samba』を入手しその音楽に魅せられた。その後紆余曲折を経て本人を探し出し、主催レーベルLuaka Bopの最初のアーティストとして契約する。 1990年に過去作をコンパイルした『Brazil Classics, Vol. 4: The Best of Tom Ze - Massive Hits』のリリースで改めて国際的な評価を得たトン・ゼーは欧米でのライブも成功させる。続く実に8年ぶりとなる新作『Brazil Classics, Vol. 5: The Hips of Tradition』はトロピカリアから20数年を経て、その空気感をそのまま真空パックしたような普遍性を持った作風で驚きとともに迎えられ、続く『Com Defeito de Fabricacao (Fabrication Defect)』(1998年)では、ヒップホップやテクノにドラムマシーンなど現代な要素を取り入れつつも従来の音楽性がより時代に寄り添う形の名盤として高い評価を獲得した。 00年代に入っても2枚組の大作『Jogos de Armar(創作ゲーム)』(2001年)オペラ仕立ての『Pagode(パゴージ学習〜オペレッタ「女性差別と愛」)』(2006年)、ボサ・ノヴァに久々にフォーカスした『Estudando a Bossa: Nordeste Plaza』(2008年)、80歳になり発表した『CANCOES EROTICAS DE NINAR』(2016年)や子供向けに過去作をリメイクした最新アルバム『SEM VOCE NAO A』(2017年)となど旺盛な制作意欲とともに今世紀に入っても作品を発表し続けている。 (FRUE)

トン・ゼーの最新情報

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