物価高のブラジルに上陸した「フォーエバー21」。中には日本より安いものも! その理由とは!?
2014年 03月 21日3月15日、アメリカのファストファッションSPA大手のフォーエバー21がついにブラジルに上陸、大旋風を巻き起こしている。
高級住宅街の近くにある「モルンビーショッピングセンター」に1号店をオープン。初日から長蛇の列ができ、入場規制を実施。50人ずつ入場をしていき、商品を選べる時間はわずか15分、その後試着にまた1時間~2時間並ぶ。さらにレジで1-2時間。それを繰り返し、商品を買うのにだいたい一人当たり4時間かかったそうだ。そして、最初の6日間でなんと5000人がショップに訪れた。それ以降も、10時オープンのショッピングセンターに8時半から行列ができており、人気は衰えないようだ。
さらに驚くのはその価格だ。
先行するZARAはほとんどの有名ショッピングセンターにすでに店舗を構えているが、現地生産もしているにも関わらず、高級路線で進んでおり、日本に比べると2~3倍の価格である。昨年進出したGAPも、当面輸入ということもあり、日本に上陸したときと同じく高級路線であるが、これはブラジルの関税や国内の税金が高いため、やむを得ない面がある。カルチェやヴィトンなども、日本で売っているものと同じ商品で比べても、だいたいが2倍~3倍の値段がついている。日本の食品も輸入品については、店頭価格は日本で買える価格の3倍~5倍になる。
ところが、なんとフォーエバー21は、ものによっては日本やアメリカより安い。同じデザインのカーディガンが日本3580円、アメリカ37.8ドルに対してブラジルでは、45レアル(約2000円)、ジーンズも日本で2500円のものがブラジルでは34レアル(1500円)。税金、人件費、物価がどこよりも高くなっている今のブラジルが、他の国よりも激安価格になっている。てっきりオープニング記念の特価だと思っていたら、今後もこの価格で行くらしい。
同じショッピングセンターに入っている地元のアパレルメーカーのどこよりも安く、大きなショッピングモールには必ず入っている格安日用品スーパーで、ショッピングのブランド物を買えない人が買い物をするCIAよりも安い。これは衝撃的なことである。
ブラジルの有力週刊誌「ヴェージャ」誌もその激安価格に飛びつき、トップにインタビューを掲載している。その中でグループの代表がなぜ安くできるかという質問に答えているが、できるだけ経費削減をしているとのことだ。
飛行機もビジネスクラスに乗らず、広告予算もかけない。利益を少なくすることによってブラジルでものを安く大量に売る、要するに薄利多売で利益を上げる戦略とのことである。今後、順調に行ったからと言って、途中から価格を上げるということはしないと言い切っている。
しかし、ブラジルの何十もある税金、諸物価の高さ、多発する労働訴訟を織り込んだ人件費の高さ等を考えたときに、上記のようなコストカットだけで実現できる価格とは思えない。近年ブラジルの繊維業界は、韓国系移民のディスカント攻勢に席巻され、韓国繊維街までできていることを考えると、フォーエバー21のオーナーが韓国系アメリカ人であることとの相関を思わずにはいられない。
フォーエバー21のブラジルでの今後の出店予定としては、次に3月22日にリオデジャネイロの高級住宅街であるバハ・ダ・チジューカにあるビレッジモールに2号店をオープン。さらにベロ・オリゾンテ、ヒベロンプレット、ブラジリア、ポルトアレグレと拡大していく予定である。これでユニクロのブラジル進出はさらに難しくなってしまったかもしれない・・・。
(写真/輿石信男)