サンパウロが誇る2大名病院、ユダヤ系病院とアラブ系病院の関係

2014年 05月 4日

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サンパウロを代表する2大病院のライバル争いを報じるブラジルのメディア記事の、見出しに「聖戦」という言葉が使われてどきっとさせられた。

記事を報じたのは4月28日付けの「エザミ」(電子版)。話題となっているのは、ユダヤ系のAlbert Einstein アウベルト・アインスタイン病院と、アラブ系家族が創業したSírio-Libanês シリオ・リバネス(シリア-レバノン)病院だ。

両病院はサンパウロで人気を二分する有名な病院で、どちらも最新鋭の機器や技術を誇る。

ベラビスタ地区に1921年に設立されたシリオ-レバネス病院は、腫瘍学が専門。ルセフ現大統領や元大統領ルーラは有名な患者である。4月末にルーラ元大統領が入院したのも同病院だった。

一方のアインスタイン病院が誕生したのはシリオ・リバネス病院からは30年以上後のこと。モルンビー地区に1955年にオープンした病院だ。神経や移植などの分野に特化している。

共に年間で15%の成長をとげる中で、両病院は共同で新しいユニットや、ビジネス、研究センターに30億レアルの投資を行って来た。今では、誰も認めてはいないが、今では競合する間となっている。

競合するようになったのは両病院の境界が曖昧になって来たため。かつては得意分野で済み分けられていた両病院は、研究や技術に投資を続けて進化した昨今、両病院ともあらゆる分野を手掛けたくなってきたからだ。

まずはアインスタイン病院が2009年に診療事業の拡大を打ち出した。以来、サンパウロに4つの新たなセンターを開設して同業分野のランキングで4位になった。

1年もたたないうちに、今度はシリオ・リバネス病院が2010年に初の外部研究室をイタン・ビビに開設。市の南部に別のセンターを開設する場所も探しており、両センターとも、画像診断に特化した施設だという。

両病院の競争は激化しており、舞台はリオデジャネイロにも広がりつつあるという。

(文/加藤元庸、写真/Michel Temer)
2013年にオープンしたアインスタイン病院腫瘍学センター