ブラジルで銃による死者は1日116人。黒人死者は白人の2.7倍

2015年 05月 14日

アムネスティ・ブラジル

国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)発表の暴力白書によると、2012年の銃による死者は4万2416人で、1日116.2人、1時間当たり4.8人が犠牲となったと14日付「エスタード」紙や各紙サイトが報じた。

年齢別に見ると15~29歳が2万4882人で、この層の若者が銃弾に倒れる可能性は他の層より285%高い。

エスピリットサント州ヴィトーリアでは587%、アラゴアス州マセイオでは489%高かった。

また、02年と比べた人口10万人当たりの銃の犠牲者(死亡率)は、サンパウロ州62.2%、リオ州54.9%、ホライマ州54.6%、ペルナンブッコ州39.7%、マットグロッソドスウ州35.5%など、計8州で減少した。

州都別に見た若者の死亡率は、サンパウロ市とリオ市で68.7%と67.9%減ったのを始め、ペルナンブッコ州ヘシーフィ(レシフェ)で45.9%、サンタカタリーナ州フロリアノーポリスで42.8%、アクリ州リオ・ブランコで41.5%減った。

銃による死亡率が上昇した州は、マラニョン州273.2%、セアラー州245%、アマゾナス州228.4%、リオグランジドノルチ州171.2%、パライーバ155.9%などで、ブラジル北東部での増加が目立つ。

死亡率が上がった州都は、マラニョン州サンルイス432.2%、セアラー州フォルタレーザ357.4%、アマゾナス州マナウス323.5%、リオグランジドノルチ州ナタウ(ナタール)163.5%、パラー州ベレン149.7%などだ。

銃による死亡率が最も高い州はアラゴアスの10万人当たり55人(119%増)で、世界一危険とされるベネズエラ並みの数字となっている。

黒人の死者は2万8946人で、白人1万632人の2.7倍。死亡率は黒人28.5人、白人11.8人で142%の差だったが、アラゴアス州やパライバ州は差が1000%を超す。白人の犠牲者が黒人より多かったのはパラナ州のみだ。

社会学者のジュリオ・ジャコボ・ワイゼウフィス氏は、アラゴアス州の死亡率が高いのは、麻薬密売者フェルナンジーニョ・ベイラ・マールの同州刑務所への移送で新しい麻薬密売組織が形成されたためと分析。

ハイテク機器を使ったサンパウロ市の治安策やリオの治安維持警察部隊(UPP)などを賞賛する一方、都市周辺部に住む黒人系で低所得の若者が犠牲になり易いと警鐘を鳴らした。

(記事提供/ニッケイ新聞、写真/Tomaz Silva/Agência Brasil)
写真は5月9日、リオデジャネイロ市コンプレクソ・ド・マレー。黒人の若者たちがより生命の危機にさらされていることに抗議するアムネスティ・ブラジルの活動家