「フォーチュン」誌が「ビジネスパーソン・オブ・ザ・イヤー」を発表。トップ20にブラジル人経営者がランクイン

2015年 11月 23日

JBS

アメリカ合衆国のビジネス専門誌「フォーチュン」が、毎年恒例となっている「ビジネスパーソン・オブ・ザ・イヤー」の2015年版を発表した。

1位はナイキのCEO、マーク・パーカー氏、2位はフェイスブックCEO、マーク・ザッカーバーグ氏、3位はエレクトロニック・アーツのCEO、アンドリュー・ウィルソン氏が名を連ねた。

同リストの20位に、ブラジルに本拠を置く食肉加工販売会社「JBS」のCEO、ウェズレイ・バチスタ氏が選ばれた。

JBSはここ10年の間にブラジル内外の企業を買収し食肉加工販売業界で世界最大手にまで成長した。

今年が創業62周年にあたるJBSは、同社HPによると、設立されたのは1953年、ゴイアス州アナポリス。当初は1日5頭の牛をさばける程度のスペースで始まったという。

1970年代に入り、家族は食肉加工から徐々に牛の飼育分野にビジネスを広げ、同業者の買収、投資により事業を拡大した。

2000年代には事業基盤が広がりブラジル国内に21拠点、アルゼンチンに5拠点を持つに至り、1日の食肉処理量は19,900頭にまで増加した。また2005年にはアルゼンチン最大の牛肉輸出業者、スイフト-アルモールを100%子会社化した。

2007年に冷凍食品加工業者として初めてブラジル証券市場への上場を果たしている。同年、アメリカ合衆国のスイフト・アンド・カンパニーを買収し、合衆国及びオーストラリアにおいて牛肉のみならず豚肉加工業にも参入することとなった。

買収による事業拡大はその後も続き、2008年にはオーストラリアの「タスマン」(Tasman)グループ、合衆国の「スミスフィールド・ビーフ」(Smithfield Beef)の牛肉部門、2009年にはブラジル国内食肉メーカー「ベルチン」(Bertin)、合衆国の鶏肉メーカー「ピルグリムズ・プライド」(Pilgrim’s Pride)、2010年にはオーストラリアの「タチアラ・ミーツ」(Tatiara Meats)、「ロックデール・ビーフ」(Rockdale Beef)、ベルギーの「トレド・グループ」が傘下に入っていった。そして2013年にはセアラ・ブラジル(Seara Brasil)を買収し、世界の鶏肉業界でのトップシェアを握ることとなったという。

これらの買収を経て、同社の売上はこの10年で30倍に伸びたとされる。

そして2015年7月には、傘下のスイフトポークを通じて、穀物メジャー、カーギル(Cargill)グループの豚肉加工部門カーギル・ポーク(Cargill Pork)の買収で、同グループと合意した。

(文/余田庸子、写真/麻生雅人)
写真はFOODEX JAPAN 2014に出展したJBSのブース。JBSが買収したセアラ社は、2014年ワールドカップブラジル大会で公式スポンサーを務めたことでも知られる。セアラ社は2008年時点ではカーギル社傘下だったが2009年9月にマルフリグ社傘下となり、2013年にJBSに買収された