サンタクロースが強奪したヘリ、未だ行方知れず

2015年 11月 30日

サンタクロース ヘリ 強盗

ブラジルも日本同様、ところによってはクリスマスの飾りつけが始まっている。そんな中、11月27日(金)、サンパウロ郊外でサンタクロースがヘリコプターを乗っ取る事件が起きた。

奪われたヘリコプターはロビンソン44型で、エグゼクティヴクラスの乗客の輸送に多く使われている4人乗りタイプ。事件発生から3日たった30日の時点で、捜索は続けられているとTVグローボの「ジョルナウ・ダ・グローボ」や系列局TVテンの報道番組(11月28~30日づけ)が伝えている。

被害にあったパイロットによると、ヘリコプターはサンタクロースの衣装を着た男性に雇われて、サンパウロ郊外のカンポジマルチを出発、同州のマイリンキにある農場に向かう指示を受けていたとのこと。

クリスマスシーズンが近いため、男がサンタクロースの衣装を身に着けていたことについてパイロットは不思議には思わなかったという。また男は、農場ではフェスティバルが行われており、ヘリコプターで登場することが演出の一部だと説明していたという。

30分近くの飛行を終え、ヘリコプターが指定された農場にあるサッカーグラウンドに着陸するや、パイロットはサンタクロースの衣装を着た男に粘着テープとロープで身柄を拘束された。

「サンタクロース本人が武装していてパイロットを脅し、その瞬間、ヘリコプターの到着を待っていたもうひとり別の人間が現われ、パイロットはヘリごとジャックされました。そのまま彼は農村地帯に近い住居に運ばれ、浴槽に閉じ込められました」と軍警察のハファエウ・アウヴァレンガ中尉は語った。

パイロットが浴室に閉じ込められるところを農場の隣人が目撃しており、犯人たちは迅速にパイロットを運び、その間パイロットは助けを求めて叫んでいたという。

隣人は警察に通報したが、サンタクロースに扮した男性と共犯者はそのままヘリコプターを奪って逃走した。パイロットは数時間後に自力で脱出して隣家に助けを求めた。

その後の捜査で、犯行に使われた農場を借りる契約のために、事件の前日の26日(木)、ひとりの女性が農場を訪れていたことが判明した。契約者はサンパウロ北部の住人の名前になっており、農場の使用契約は27日の朝6時半から夕方18時までだった。犯人グループは現金で900レアル(約2万9000円、1レアル=約32円で換算)を支払い、ヘリが到着するまで農場に待機していた模様。

またヘリが去った後の農場からは焼き払ったサンタクロースの衣装やメガネが発見された。ヘリは約500km飛行可能な燃料タンクを満タンにして飛び去っているという。

捜査は文民警察と空軍が協力して行っている。

(文/加藤元庸、写真/Reprodução/Jornal da Grobo/TV Globo)
写真は「ジョルナウ・ダ・グローボ」より、被害にあったものと同種のヘリコプター。TVグローボ系列の報道番組は日本ではIPCTV(グローボ・インターナショナル)で放送中。視聴のお問い合わせは、080-3510-0676 日本語対応ダイヤルまで